電動ウィンチ

妄想小説

ワンピースの女



 六

 Tの字の形に縄が締め付けられると、残っていた長襦袢用の赤い帯で荒縄を隠すように縄の上から帯が褌の形に巻かれていく。この帯もまた解けないようにウィンチの力で強力に結び目が合わされてしまう。もう自力では絶対にほどけないほどに締め上げてしまうと、キヨは裁ち鋏みで余った正絹の帯を結び目ぎりぎりのところで切り取ってしまう。荒縄のほうはさすがに裁ち鋏みでは切れないようで、台所から持ってきたらしい出刃包丁を使ってこれも結び目ぎりぎりで切り取ってしまう。

股縄緊縛

 「さ、宜しいでしょう。旦那様がお待ちですので、上にワンピースをお羽織りになってご挨拶に行ってらっしゃいませ。」
 「キヨ。ワンピースの下はペチコート一枚だけで赤いものが透けてみえないかしら。」
 「大丈夫でございます。外目には微塵もその様子は窺いしれません。ご安心ください。」
 「そう・・・・?」
 キヨの言葉を疑ってみても詮無い事と諦め、そのまま源蔵に挨拶に出たのだった。

貴子

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