口枷と鎖

妄想小説

ワンピースの女



 十二

 「何だかわかったようだな、貴子。お前にも・・・。」
 「いえ、わかりません。」
 「わからないのは何に使うか・・・だろう。その形が何を模しているかはわかった筈だ。」
 「・・・。」
 男性のペニスなのだろうとは思ったが口には出来なかった。
 「お前はdiscipline という言葉を知っておるか?」
 「ディシプリン・・・? わかりません。」
 「一般的な訳語では躾けとか矯正などと言うが、実際にはもっと深い意味がある。」
 「深い…意味?」
 「ボンデージ&ディシプリンという言い方をするのだ。その道の識者のうちではな。性的な苦痛を快楽に感じる者たちが使う道具に使われることばだ。そこにあるのは男性用の拘束具を模したものなのじゃ。」
 (やはりそうなのだ。)
 ペニスに嵌めるものなのではと一瞬、脳裏を掠めたがさすがにそれは口に出来なかった。
 「しかし、それに似せてあるだけで本物ではない。女性用に作りかえてあるのだ。」
 「女性用・・・? ま、まさか・・・。」
 「さすがにお前は頭の回転が速い。もう何だかわかったようだな。勿論、あそこに装着することも出来る。しかし今回は折角マスクをしているのだからな。あれを口に咥えてあの場所に長時間正座させておこうというのだ。」

貴子

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