痴漢遭遇

妄想小説

ワンピースの女



 二十一

 男の指は貴子が抵抗しないのをいいことにどんどん動きをエスカレートさせていた。貴子の脚の付け根まで届いた指はそこにある筈の下着の感触ではないものを感じ取って、それが何なのかを突き止めようと貴子の股間を執拗にまさぐっていた。そして遂には股倉に回された帯を伝って結び目がお尻の上にあってT字型に股間を蔽っていることを突き止めてしまったようだった。
 男の指の蹂躙を受けながらも何も出来ない自分にもどかしさと情けなさにさいなまれていた貴子は、突然の男の指の侵入で忘れていた尿意が募ってきていることを思い出していた。男の手が貴子の股倉を締め付けている帯を引っ張って刺激するので、括約筋を絞めつけているのがどうしても緩みそうになってしまうのだった。
 (もし、こんなところでお洩らしなどしてしまったら・・・)
 そう考えただけで貴子はこめかみから冷たい汗が流れ落ちるような気がしてくるのだった。その時、貴子のお尻の下で帯が引かれるのを感じた。男が貴子の股間を締め付けている帯の端を見つけたらしかった。
 (駄目っ、それを引いては。帯が解けてしまうわ。)
 貴子の願いも虚しく帯は絹の滑りでするすると引かれていく。貴子は男が引いている帯の端が間違っていて、解けるのではなく固結びになる方向であることを祈った。しかし次の瞬間、貴子はキヨが帯を締める際に、貴子の裸の尻の上で蝶結びにしていたことを思い出した。だとするとどちらの端を引っ張ったところで、するりと帯は解けてしまう筈だった。

貴子

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