縄地獄

妄想小説

尼僧院物語



 二十七

 肩まで僧服を持ち上げてしまうとマリアの裸の胸に食い込む荒縄が現れる。
 (やっぱり普段からこんなもので胸を縛られていたんだ。)
 マリアはくるっと振り向くと涼馬に背中を見せる。
 「背中の真中に結び目がある筈よ。自分では解けないの。縄を解いて。早くっ。」
 「わ、わかった。」
 涼馬が苦心して縄をほどいていると、その間にマリアは下穿きを脱ぎ始める。更にはたくし上げた僧服の一部をビリッと細く切り裂くのだった。
 「ああ、ほどけた。」
 「そしたら僧服の上から私を後ろ手に縛るのよ。」
 「え? 君を縛るのかい?」
 「そうよ。わたしは貴方に捕まって縛られて教誨室に繋がれたことにするの。そうやってあなたが逃げたことにするのよ。私を縛ったらこれを私の口の中に押し込んで、この紐を口を割るように咬ませて、吐き出せないように頭の後ろできつく縛って。」
 涼馬は言われた通りマリアの両手を背中で縛り、余った縄を胸の上下に回す。マリアが今まで穿いていたパンティをマリアの口の中に押し込むのはさすがに躊躇われた。
 「早くするのよ。時間がないわ。」
 「わかった。最後にもう一度だけキスをさせて。必ず戻ってくるから。」
 涼馬はマリアを抱きしめながら唇を重ねる。
 「じゃあ、これを・・・。」
 そう言ってマリアが口を開けて待つ中にパンティを丸めて押し込むと紐状になった僧服の切れ端でマリアに猿轡を咬ませる。
 涼馬に目配せしたマリアの眼は(無事逃げてね)と言ってるようにみえた。マリアはくるりと踵を返すと隠し扉を押して礼拝堂のほうへ戻り、背中で押して扉を閉めた。
 涼馬は言われた通り、痛い足を引き摺りながら螺旋階段を小走りに降りていったのだった。

tbc
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