連れ出し

妄想小説

尼僧院物語



 二十三

 物音がしたのは夜が完全に更けてからだった。微かな音で自分が寝ている部屋の扉がゆっくりと開かれたのを目を瞑ったまま感じ取る。自然な寝息に聞こえるように、ゆっくりと定期的に息をする。その寝息を確認してから何人かが近づいてきた。ベッドの上の毛布とシーツが剥されると、誰かが腰に手を当てるのが判った。誰なのか目を開いてみたいのをじっと堪える。するとするするとズボンとその下のトランクスがおろされていくのが判った。そして何人かに腕と脚を持ち上げられて台車のようなものに寝かされる。その台車がゆっくりと動き出したのがわかった。
 涼馬は運ばれていく際に一旦離れの外へ出て冷たい外気を感じ、薄目を開けて顔を動かさないようにして周りを窺う。どうも台車に乗せられた自分を運んでいるのは数人の修道女らしいことが判る。
 ギィーッと鈍い音がして、修道院の入り口の扉が開かれたらしかった。覚醒していることを悟られないように顔を動かさないようにしているので台車に乗せられた真上しか見る事が出来ないが確実に暗い修道院の内部を礼拝堂へ向けて運ばれていくのを感じ取っていた。
 再びギィーッという鈍い音がしたのは礼拝堂の入り口が開かれたのに違いなかった。蝋燭が何本か点されているので廊下よりは少し辺りの様子がはっきり見て取れる。細長い台車の横に同じ高さの別の台車が左右に置かれ涼馬が乗せられた台車の脇にくっつけられる。それは上からみると、ちょうど磔にする十字架のようになっているに違いないと思われた。涼馬の腕が左右から新たに持って来られた台車の上に伸ばされると手首に縄らしきものが巻かれた。そのせいでもう身動き出来なくなってしまう。
 「マリアを連れてきなさい。」
 初めて聴く者の声がした。かなりの年配のように思われる。
 暫くすると数人が歩いてくる衣擦れの音がする。
 「マリアをそこの柱に縛り付けるのです。」
 再び声がする。そちらの方を見てみたいのだが必死で堪えて我慢する。
 「僧衣の下の下着は剥ぎ取ってきましたね。」
 何人かが頷いた様子が感じられる。
 「この男が覚醒したらマリアの横の蝋燭だけ残して、後は全て吹き消すのですよ。」
 また数人が頷いている様子だった。
 「マリアよ。あなたはこの前、アレクセイ神父が来られた時に神父にフェラチオをしましたね。」
 「フェラチオとは何ですか?」
 「フェラチオを知らないと? ふむ。懺悔の後、何をしましたか?」
 「あの・・・、私の穢れた部分を清めると仰って・・・。その奥義については口にしてはならぬと厳しく諌められました。」
 「ふうむ、都合のいい事を・・・。清められた時、あなたは気持ちよくなりましたか?」
 「は? いえ、わかりません。ただ、吃驚はしました。あの事を口にしても罪にならないのですか?」
 「何をしたのかは話さなくてもよろしい。どう感じたかだけを言うのです。」
 「初めての事で、とにかく驚いて、そしてちょっと怖かったのです。」
 「ここにいるこの男に同じことをしてあげたいですか?」
 「え? 神父様にしたのと同じことをするのですか。考えてもみませんでした。」
 「ならいいでしょう。そろそろこの男も覚醒する筈です。今晩はこの男がお前の姿を見て、どう反応するかをよく見ておくがいいでしょう。いいですか。この男が覚醒した後はひと言も発してはなりませんよ。」
 「判りました、僧院長様。」
 「それじゃあ、気つけ薬をこの男の鼻先に・・・。」
 誰かが涼馬のすぐ脇でごそごそとしていると思ったら、つうんとした刺激臭がした。
 「う、ううん・・・。」
 涼馬はその時初めて目が醒めた振りをして首を振る。薄目を開けた涼馬に礼拝堂内がふっと闇に包まれたのを感じた。蝋燭が一斉に消されたらしかった。堂内の一箇所だけが妙に明るい。二本の燭台が立てられた間にマリアが十字の柱に縛り付けられているのだけがはっきり見て取れる。尼僧衣の頭巾の上に更に顔を隠す為の黒いベールを掛けた修道女がマリアに近づいていき、後ろ側に立つ。その修道女がマリアの僧衣の裾をゆっくり上にたくし上げていく。マリアの白い腿が次第に露わになってゆく。それを見て、涼馬はペニスが勃起してくるのを感じる。僧衣の裾が脚の付け根を越えて無毛の股間を晒し出すと、涼馬は興奮を抑えきれずペニスを完全に反り返らせてしまう。
 「ふふふ・・・。」
 すぐ傍でほくそ笑む声を聞いたような気がする。その声の主がいきなり横から涼馬の下半身を跨ぎむこう向きに被さってきた。
 涼馬は屹立したペニスが濡れそぼった粘膜に包み込まれるのを感じた。目の前の後ろ向きになった修道女が顎で合図を送った様子だった。マリアの僧衣が肩のほうまでたくし上げられると白い乳房が露わになる。その乳房を後ろから出てきた手が揉みしだき始める。マリアは堪らず喘ぎ声を上げ始める。マリアの喘ぎ声を聞くと涼馬のペニスは益々怒張度を上げていく。それを感じたのか涼馬に跨った女は腰を上げ下げし始める。
 「ううっ・・・。」

tbc
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