妄想小説
女子修道院の隠された秘密
七
「イワノフ神父様、いらっしゃいますか?」
蝋燭の灯り一本を頼りに真っ暗な地下の教誨室へ続く廊下を歩いてきたマリアは、教誨室の手前でそっと声を掛ける。マリアはこれから自分の冒した罪の償いの罰を受ける為に向かうのだというのに、何故か心浮き立つものを感じていた。
(神様に赦されるのが嬉しいのだわ、きっと・・・。)
マリアはそう自分に言い聞かせながら教誨室の扉を潜る。その途端にマリアが手にしていた燭台の蝋燭は横からふっと吹き消されたのだった。
「あっ。」
突然真っ暗闇になったことに驚いて思わず声を挙げてしまったマリアだった。
「マリアよ。燭台を床に置いて、両手を背中の方へ回すのだ。」
後方からする声にイワノフ神父が教誨室の扉の陰に居たことを知る。マリアが燭台を床に下している間に後ろで扉の閉まる重い響きが聞こえる。
(縛られるのだわ・・・。)
マリアは両手を背中に回して交差させる。その手首に麻の縄らしい感触が伝わってくる。
(ああっ・・・。)
思わず声を立ててしまいそうになるのを必死で堪える。両方の手首に二重に巻かれた縄と縄が括り付けられると、その余りが僧衣の上からマリアの胸元にも巻かれていく。厳しい戒めはマリアから身動きする自由を奪ってしまうのだ。
「そこに跪きなさい。」
神父の声に自由を奪われたマリアが言いつけどおりに膝を付く。
マリアは僧衣の裾が少し捲り上げられて足首にも木の板のようなものを当てられる。少し開いた足が急に動かせなくなったことで足枷を嵌められたのだと気づく。
「罪を償う罰を受ける覚悟が出来ているか、マリアよ。」
「は、はいっ。神父様。」
「ならば赦しを請うのだ。」
「はい、神父様。どうかわたくしに罰をお与えください。」
マリアがそう言うと後ろ側で僧衣の裾がたくし上げられていくのを感じる。たくし上げられた僧衣は腰元に巻いた腰紐の中に差し込まれてゆく。マリアは自分の下着が露わにされていることに気づく。しかし真っ暗闇の中では何を身に着けているのかは分からない筈だった。しかしその下着に手が掛けられ膝の近くまで引き下ろされてしまう。
そのすぐ後にシュッっとマッチを擦る音が聞こえて、先ほどマリアが床に置いた燭台に火が灯されたのが分かる。蝋燭の炎に照らされたおのれの影の揺らめきで、燭台が入口付近の燭台受けに置かれて自分の身体を背後から照らしているのを感じる。振り向いても神父の姿は逆光になって見えないが、露わにされた自分の白い尻たぶは闇の中に浮かび上がっている筈なのが痛いように感じられる。
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