マリア神父出迎え

妄想小説

女子修道院の隠された秘密



 四

 「ご足労頂きまして、ありがとうございます。イワノフ神父様。」
 「ああ、マリア。わざわざ出迎えてくれるとは・・・。して、皆さんは?」
 「それなのですが、来て頂いて早々まことに申し訳ないのですが、私以外のシスターはアレクセイ修道院で行われる黙想会というのに出席する為に皆、不在となってしまったのです。本来ならば事前にご連絡申し上げるべきでしたのに・・・。」
 「ああ、やはりそうだったか。私もその黙想会の話は薄々噂に聞いておったので、もしかしたらとは思っていたのだが。いや、しかし貴方一人でも居られるのであれば、月一回の巡回は大事な務めですのでやはり参らねばなりますまい。修道女が多い、少ないは関係ありません。どうかご心配なさらぬように。」
 「そうですか? では、中にご案内申し上げます。どうぞ、こちらへ。」
 マリアは修道院の入り口の鉄門を開き神父を招じいれるとその後、鉄門の鍵を施錠するべきか一瞬迷う。普通は門は常に出入りの無い間は施錠することが決まりなのだが、その時マリアはその後男性であるイワノフ神父と女性である自分が二人きりになることで、施錠して二人きりの場を他の者を立ち入らせないようにすることに抵抗があったのだ。マリアは施錠しないまま神父を修道院の中に案内していくことにした。この事が後にマリアたちにとって運命的な悲劇を導くことになるのだが、まだこの時はその事についてマリアも知る由がないのだった。

礼拝堂内跪き

 修道院内には月一回巡回で訪問してくれる神父の為に専用の控室が用意してあった。その部屋に案内する途中、聖堂の前を通りかかった際にマリアは神父に跪いてお願いをする。
 「イワノフ神父様。今日はこちらの僧院内は私一人なので少し時間があるかと思います。なので夕べのお務めの前に私の為に懺悔の時間を設けて頂きたいのですが。」
 「そうですか。ならば部屋に荷物を置いた後、懺悔室に赴きますので10分ほど後においでなさい。」
 「ありがとうございます、神父様。それではこちらへどうぞ。」
 マリアはイワノフ神父を専用の控室に導いた後、先に聖堂内の懺悔室に入って神父を待つ。

マリア

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