妄想小説
女子修道院の隠された秘密
三十一
「どうしてもそれは着けねばならないのですね、ナタリー修道女長さま。」
翌日もまたマリアはヤコブの勉強部屋へ向かう前にナタリー修道女長の部屋で僧衣の裾を捲り上げて貞操帯を嵌められたのだった。
「マリアよ。これを着けたくないというのは不貞をしたいという思いの表れですよ。どうしても着けさせて欲しいという気持ちになりなさい。」
「ああ、ナタリーさま。マリアが間違っておりました。では行ってまいります。」
どうしても違和感の拭えない貞操帯を身に纏うと僧衣の裾を下げてヤコブが待つ部屋へ向かう。最初の日に下着を着けさせて貰えないことを不審に思ったマリアだったが、今では万が一外して貰えるまでに尿意を催してしまった場合にそのまま垂れ流しが出来るようにする為なのだと理解が出来たのだった。
「じゃ、ヤコブ。今日も勉強を始めるわね。今日は数学と言うものを教えます。時に、ヤコブ。貴方、昨夜外を出歩いたりはしていないわよね?」
一瞬、ヤコブの表情が凍り付いたような気がしたマリアだった。
「いいえ、マリアさま。そんなことはありません。」
「ヤコブ、そのマリアさまというのはおやめなさい。こちらではマリア様というのは聖母マリアを指す言葉です。マリアだけでいいのです。」
「そ、そうなのですか・・・。では、マリア・・・。」
「よろしい。では勉強を始めましょう。」
その夜も前夜のことが気になって仕方ないマリアは、夜になって外に出てはいけないと言われていたにも関わらず、こっそりと今度は灯りを持たずに同じ時間に僧院の一階に出て暗闇の影に潜んでいた。
暫くして何も起こらないかとマリアが部屋に戻ろうとした時だった。中庭の向こう側から黒い影が近づいてくるのが見えたのだった。前夜は二階のバルコニーからだったのではっきりとはしなかったが、背の高さからヤコブに違いないとマリアは確信した。その影が出てきたのもヤコブが与えられている作男小屋の方からだったのだ。
マリアが息を潜めていると、ヤコブらしき黒い影は礼拝堂のほうではなく、ナタリー修道女長の居室がある方を目指していた。
そして部屋のすぐ近く辺りでふっとその姿を消したのだった。
(どういう事なのだろう・・・?)
マリアは只ならぬものを感じ取っていた。
翌日の勉強でもヤコブは何やら落ち着かない様子だった。何か隠しているに違いないと思ったマリアは勉強が終わってナタリー修道女長に貞操帯を外して貰った後、こっそりと修道院の中庭を抜けてヤコブが居室として与えられている作男小屋へ様子を見に行ってみることにした。
マリアがこっそりとヤコブの様子を窺っていると、修道院の建物とは逆側の森の方角にある小屋に着いたバルコニーに出て森の方を眺め始めた。そのヤコブの上半身は何故か裸だった。
何かを思い詰めている風だったが、やがてやおらヤコブはズボンのベルトを外し始めた。そしてズボンを膝まで下してしまうのだった。ヤコブは下着を着けていなかった。その代わりなのか何やら光るものがヤコブの股間を蔽っているのが垣間見れたのだった。
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