マリア見送り

妄想小説

女子修道院の隠された秘密



 三

 「いってらっしゃいませ。」
 修道院の門で、ナタリー修道長以下、マリアを除く全ての修道女たちが車で山向うのアレクセイ修道院に向かってしまうのを見送ったマリアは改めてひとりぼっちになって不安を感じる。
 (ああ、わたし一人でイワノフ神父をお迎えしてお相手をしなくてはならないなんて、そんな事出来るのかしら・・・。)
 不安にかられたマリアは、イワノフ神父を迎え入れるとなったら修道院の中に男性一人と女性である自分一人だけになってしまうことに改めて気づいたのだった。
 (大丈夫かしら・・・。ああ、私ったら何を考えているのだろう。相手は男性と言ったって神父さまなのだし、ここは修道院なのだ。何を変なことを想像していたのだろう・・・。)
 そう思いながらも、この広い修道院でたった二人だけの男女で暫く時間を過ごさねばならないことを考えると、不安とともに無意識のうちに淡い期待のようなものが沸き起こってくるのをマリアは抑えられないでいたのだった。
 (ナタリー修道長様ったら、イワノフ神父様のことを『おいぼれ爺さん』だなんて・・・。随分と酷い物言いの仕方じゃないかしら。確かにお歳は召してられるけれど、立派な紳士だわ。しっかりとお仕えしなくちゃ。そうだわ。)
 マリアはある事を思いついて自分の部屋へ一旦戻ることにする。

マリアエロ下着

 マリアが自分の部屋のチェストの奥から引っ張り出したのは、このロザリンド修道院に入信する際に密かに隠し持ってきた一対のセクシーな下着だった。修道院に入信する前に買っておいたものだが、一度も身に着けるチャンスはなかったものだ。いつか一度でもこの下着を身に着けて男性の前に立ってみたいと思っていたのだが、修道院に入信してからはもうその機会は無くなったのだと思っていた。
 (今日だったら、男性である神父様と二人だけだし、他の修道女たちは皆出掛けてしまっているので、万が一にも見つかる心配はないわ。)
 セクシーな下着に着替えてその姿を姿見の前で確認してから再び僧衣を纏うと、イワノフ神父を出迎えに修道院の門へ再び戻ったマリアだった。僧衣の下にセクシー下着を纏っているのだという思いだけで、不思議と力が湧き、男性と二人っきりになるというのにも迷いも惧れも抱かなくなったマリアだった。

 やがてイワノフ神父が運転する古いセダンが修道院入口への坂を旋回しながら降りて来る音を聞いたマリアは駐車場から車を降りて近づいてくるイワノフ神父を門の前で出迎える。

マリア

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