妄想小説
女子修道院の隠された秘密
三十二
(あ、あれは・・・。)
思わず声を挙げてしまいそうになったマリアは慌てて口に手を当てて声を呑み込む。初めて見るものだったが、自分がヤコブの勉強を見る際に着けさせられているものから容易に想像が出来た。ヤコブの性器の自由を奪っている性器の拘束具に違いなかった。
マリアはふと、最初の勉強の時に、急にヤコブの様子がおかしくなったのを思い出していた。
(あれは初めて異性と二人だけで一緒の部屋になって、興奮して勃起したのだわ。あの器具のせいで勃起しても抑えつけられてしまうので股間を抑えて痛がっていたのに違いない。)
小屋の角から少しだけ顔を出してヤコブの様子を見ていたマリアは、ヤコブが辺りをきょろきょろ見回したのを見て慌てて顔を引っ込める。暫く待ってからゆっくりと再び顔を出してみると、ヤコブは横を向いて両手で金具に包まれた性器をいじっていた。しかし、勃起しようとして金具に締め付けられるので顔は苦痛に歪んでいるのだった。
(ああ、ヤコブ・・・。何て可哀そうなの。)
マリアはいけないものを見てしまった罪悪感に駆られてその場をそっと音を立てずに立ち去るのだった。
マリアは夜になって昼間あったことと、前夜のことを思い出していた。
(ヤコブがあそこに嵌められているモノと、夜な夜なナタリー修道女長の部屋に忍び込むのは何か関係があるに違いない。)
そう確信したマリアはその夜もこっそりとナタリー修道女長の部屋の傍までいってみることにしたのだった。
ナタリー修道女長の部屋の裏手へ廻ってみると、窓から明かりが洩れているのが見て取れた。マリアはその窓際ぎりぎりまで近づいてみることにした。
ナタリー修道女長は本を読みながら何かの瞑想に耽っている様子なのが窓枠越しに見て取れた。不審に思ったのは修道女長の僧衣から大きく裾を肌蹴けて脚が付根近くまで露わになっていることだった。
その時、部屋の扉を叩く音た聞こえてきた。修道女長は誰が訪ねてくるのか予め分かっていた様子で驚くこともなく、すくっと立ち上がる。僧衣の裾が妙に短いことに気づく。それはマリアがあの男に着せられた裾を短く切り取られた僧衣の様子と似ているように思われた。修道女長は手にした蝋燭をフッと吹き消す。と同時に辺りが真っ暗になる。
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