妄想小説
女子修道院の隠された秘密
三十八
「神父さま。その写真に見覚えがおありのようね。」
背後から聞こえたマリアの声に神父が振り向くと、銃を構えたマリアがそこに居るのだった。
「こちらの方からすべてを聞いてしまいました。イワノフ神父の話には嘘がありましたね。」
「ま、待ってくれっ。全てを話すと話が混乱すると思ったので少し省略しただけだ。」
「オルガ僧院長を殺害したこともですか?」
「だ、誰がそんなことを・・・。」
「あの修道士が見ていたんです。マルタさんを救い出そうとしてこの修道院に駆けつけた時に、貴方がオルガ僧院長の首を絞めるところを。この方はマルタさんのお兄さんです。マルタさんの死の真相を確かめにきて、あの修道士からも話を聞いたそうです。」
「あの修道士は生きていたのか・・・。」
「さ、この人から縄を受けるのです。両手を背中に回しなさい。」
「わ、わかった。わかったからそんな物騒なものは下しなさい。」
イワノフ神父の両手を縛り上げたマリアと男は今度はナタリー修道女長の部屋へ向かう。
マリアがドアを開けると、ナタリー修道女長はベッドに横たわるヤコブの股間に顔を埋めているところだった。
「ナタリー修道女長。その子から顔をあげなさい。」
銃を構えたマリアが叫ぶと、ナタリーは今暴発したばかりのヤコブの精液を唇から垂らしながら顔を上げる。
「何ですか、マリア。勝手に他人の部屋に入ってきてはなりません。」
しかしマリアが構えている銃をみて、ナタリーは事態の深刻さを理解した。
「ナタリー修道女長。この子のペニスに嵌めていた性器拘束具とその鍵を出しなさい。」
「わ、わかったわ。これよ。」
「それから私に嵌めさせていた貞操帯とその鍵も出すのです。」
「うっ。わ、わかったわよ。」
「そしたら、ヤコブに嵌めていた拘束具を今度はイワノフ神父に嵌めるのです。」
「うっ。何だって? ま、待て。止めてくれ。そんなものを着けるのは・・・。」
しかし銃を向けられているナタリーには従うしかない。両手を後ろ手に縛られているイワノフ神父には抵抗する術もなかった。
「鍵はしっかり掛けましたね。そしたら今度はその貞操帯を自分で自分の腰に嵌めなさい。」
「ど、どうして、こんなことを・・・。」
「皆を苦しめていた罰を受けるのです。」
カチャリという音がして貞操帯のロックが掛かる。
「さあ、ナタリー修道女長。あなたにも縄を受けて貰います。さ、縄を。」
マリアが男に促すのでナタリー修道女長も後ろ手に縛られてしまう。
「ヤコブ。二つの鍵をこちらに持ってきて。」
マリアが言うと、ヤコブは修道女長のテーブルの上にあった二つの鍵を持ってマリアの元へやってくる。マリアが銃を高々と持ち上げてその台尻を次々に振り落とすと二つ共、鍵は真っ二つに折れてしまう。
「私達はこの修道院を出ていきます。ヤコブは私が責任を持って育て上げます。さようなら。」
「ま、待って頂戴。これはどうやって外したらいいの? あんまりだわ。こんな格好にさせて置いてゆくなんて・・・。」
呆然と立ち尽くすナタリーとイワノフを置いて、マリアはヤコブの手を取って男と共に悠々とその場を立ち去るのだった。
完
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