妄想小説
競泳エースに迫る復讐の罠
四
じわり、じわりと麗華の方へ近づいてくるスケバン達に麗華は思わず抗戦の身構えを取る。麗華にはスケバン二人ぐらいなら簡単に捩じ伏せられる自信があった。武道家だった祖父から長年に亘って教え込まれた武術の腕があったからだ。しかしそれでも一抹の不安があった。それで麗華は相手を捩じ伏せることよりも第三者の介入が必要だと感じ取ったのだった。
くるりと踵を返すと壁に設置してある警備保障会社への通報システムへの連絡ボタンを押すことを選んだのだった。麗華の指が緊急事態は発生の警報を警備保障会社へ連絡を始めるその一瞬先に麗華の背後に走り寄ったスケバン悦子の手によって警報システムの通話用の電線が引き千切られたのだった。
「あっ。な、何をするの?」
「ふん。警備会社には連絡はさせないよ。」
最早外部への通報連絡手段を失った麗華は自力でスケバン達と立ち向かうしかないのだと覚悟したのだった。警報システムの通信線を引き千切った悦子はすぐに麗華を組み伏せようと掴み掛かる。しかし麗華の反応の方が素早かった。

掴み掛かろうとする悦子の手を足蹴りで払いのけると、悦子の手首を掴んで捩じ上げ、あっと言う間に悦子を床に捩じ伏せさせる。

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