妄想小説
競泳エースに迫る復讐の罠
三
「あ、貴方たち。どうしてここに・・・?」
「ふふふ。思い出してくれたようね。あの時は、アンタ等には散々煮え湯を呑まされたからね。あん時の落とし前はまだ付けてなかったからここに参上したって訳さ。」
「煮え湯を呑まされたって・・・。私が直接、貴女たちに何かをした訳じゃないわ。それにあれは貴女たちの自業自得だわ。」
今や麗華ははっきりとその時のことを思い出していた。麗華はこのスケバン達に一度ならずも二度も辱めを受けられそうになったのだ。しかし危機一髪のところで麗華に好意を抱く男達に助けられたのだった。そしてその二度の危機も自分を慕う部下の美桜を人質に取られて仕方なくスケバン等に毒牙に掛けられかけたのだった。
(そうだ。ここには美桜がやって来た筈だったんだわ。)
そこまで思い出して漸くインターホンに出たのは美桜だったことを思い出した麗華だった。
「ここにやって来たのは美桜だった筈・・・。美桜は何処に行ったの?」
「ふふふ。アンタがインターホンのモニタ越しに観たのはこのタブレットの映像さ。」

何時の間にかスケバン達のリーダー格である朱美はタブレット端末を手にしている。そしてそのモニタには事前に映されていたらしい美桜の無音で口を動かしている動画が映っているのだった。
「だ、騙したのね・・・。」
麗華はインターホンの画面に美桜の姿が映し出された時に背景に何となく違和感を覚えたことを今になって思い出していた。
「そうさ。こいつを使って事前に画像を録画しておいたのさ。それをインターホンのカメラの前に翳しておいたら、まんまとお前が引っ掛かったって訳さ。」
麗華はスケバン達の自分を騙して屋敷の中に入れさせた行為に気づき身の危険を感じる。
「貴女達が美桜の映像を使ってまでここに侵入したのは、何が目的なのっ?」
麗華は既に自分自身で気がついていることを口に出して確認してみる。
「勿論、あの時の復讐として落とし前を付けさせて貰う為さ。」
「ふ、復讐って・・・。さっきも言ったでしょ。それは貴女達の逆恨みなのよ。」
「逆恨み? はっ、まだアンタには罪の意識は無いようね。ま、それを思い知らせてやるってのがここに来た目的ではあるんだけとね。」

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