妄想小説
競泳エースに迫る復讐の罠
三十三
「なあ、肩車したらどうかな。」
「え、無理と思うわ。だって、あの高さよ。」
「試しにやってみよう。悦子、そこにしゃがんでみな。吟子、お前悦子の肩に乗っかるんだ。」
「あいよ。じゃ、悦子、立ち上がってみて。あ・・・。やっぱ、全然届かないわ。」
「駄目か。そうだ。悦子と吟子の二人で馬になってその肩の上にアタシが乗っかれば何とか届くんじゃないかな。やってみよう。」

悦子と吟子がスクラムを組むような格好で台になってその肩の上に朱美がよじ登る。
「ゆっくり、ゆっくり立ち上がって・・・。そう、もうちょっと。ああ、もうちょっとで手が届きそう。爪先立ちとか出来ないの?」
「え? 朱美を肩に乗っけたままで。ううっ。」
朱美も二人の肩の上でつま先立ちになって縄梯子目掛けて手を伸ばすのだが、あと一歩届かない。その時、ガラッと音を立てて土蔵の入口の扉が開く。
悦子と吟子が同時に入口の方を振り向く。その途端に肩の上に乗っかっていた朱美がバランスを崩しそうになる。
「駄目よ。アンタ等。急に動かないでっ。ゆっくり、ゆっくりとアタイを降ろして。」
その間に、入口からは両手を後ろ手に縛られて目隠しをされた二人の男が突き飛ばされるようにして土蔵の中に転がり込んできたのだった。朱美が二人の肩から飛び降りると悦子と吟子は入口に向かって脱兎の如く走り寄る。しかし二人が入口の扉に辿り着く前に、それはピシャリと再び閉じられてしまったのだ。扉の外からは閂を掛ける音が聞こえてくるのだった。
「畜生っ。おい、ジローとトシロー。どうなってるんだ?」
「その声は朱美だな? いいから目隠しを取って縄を解いてくれっ。」
「悦子。吟子。二人の縄を解いてやりな。」
悦子と吟子がそれぞれジローとトシローの背中に屈みこんで縛っていた縄を解いてやる。
「どういう事だよ、ジロー。説明しろよ。」
「誰かもう一人居たんだ。そいつにスタンガンを使われちまったみたいだ。気がついたら後ろ手に括られて目隠しまでされてたのさ。それから首に縄を掛けられてここまで牽かれてきたみたいだな。ここは何処だ?」
「裏庭の土蔵の中さ。閉じ込められてんのさ。出口はこの扉とあの壁の上の高窓しかねえんだよ。」
「ふうむ。かなり高いな。肩車ぐらいじゃ届かないかもな。」
「そんな事言わないで、試してみろよ。このままずっとここに閉じ込められているって訳にはいかねないからな。」
「ああ、朱美。しかしその前にしてえことがあんだよ。俺たち、あと一歩であのハクイ女をやれるとこだったんだ。それがお預けを喰らわせられてよ。まだここが疼いていんだよ。一発抜いてすっきりしねえと、そんな危ない仕事には取り掛かれねえよ。」
「何言ってんだよ、この緊急事態に。ま、まさかお前ら。このアタイ達の身体で代わりをさせようってんじゃないだろうな。」
「ははは、そうだよ。いいじゃねえか。一発抜いておかねえと気分が収まらねえのさ。」
「やなこった。お前等に股開くなんて。誰がやらせるもんか。な。そうだろ、悦子、吟子?」
「もちろんよ。お前等なんかに処女を呉れてやるもんか。」
「何だい。お前等、まだ処女だったのか。そりゃ好都合ってもんじゃないか。お前達は処女を卒業出来る、俺たちは溜まったもんを吐きだしてすっきり出来る。一石二鳥じゃねえか。」
「何が一石二鳥だ。お前等何かに身体は任せたりしねえよ。」
「大丈夫さ。嫌でもやって欲しくなるいい物を持ってるのさ。ほら、これだよ。」
「あ、そいつはアタイが麗華に使おうと用意しておいた掻痒剤じゃないか。何時の間に・・・。」
ジローは床に落ちていた、さっきまで自分達を縛っていた縄を取り上げると傍らのトシローにも合図する。トシローもすぐに応じて自分を縛っていた縄を取り上げるとじわり、lじわりとスケバン達に近づいていく。

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