妄想小説
競泳エースに迫る復讐の罠
二
そこに映っていたのは水泳部でついこの間後輩部員になった今泉美桜の姿だった。
「あっ、美桜じゃないの。約束どおり、うちに練習に来たのね。」
「あ、あの・・・。麗華先輩。今日はちょっと相談があって・・・。」
インターホンのモニタ画面に映る美桜の顔は何故か不安気に感じられた麗華だった。
「相談・・・? ああ、いいわよ。いま門のロックを外すからそのまま入って来て。玄関の前に来たらチャイムを鳴らしてっ。」
麗華の屋敷は門を潜って入ると、母屋の玄関まで石畳が続いているのだった。

麗華が門のロックを解錠して暫くすると今度は玄関のチャイムが鳴る。
「あ、美桜。待って。今、ドアを開けるから。」
玄関まで走り寄った麗華が玄関扉のロックを解錠して美桜を中に招き入れようとしたその時、玄関扉の向こう側に待っていたのは美桜ではないことに気づいて麗華は思わず声を挙げる。
「えっ? どういう事・・・? あ、貴方たち・・・。」
玄関扉の向うに居たのが美桜ではなかったことに面喰った麗華は一瞬後、それが誰であったかを思い出し、身の危険を感じて慌てて玄関扉を閉めようとする。しかし一瞬早く、ドアの外に居た一人が閉まろうとするドアの隙間に革靴を挟み込み、再びドアがロックされようとするのを阻止する。必死でドアを閉じようとする麗華だったが、二人掛かりで強引にドアがこじ開けられ麗華はドアの向こう側に弾き飛ばされる。

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