悪夢の前夜祭
第三部
七十一
一方の水泳部顧問の宮崎久美子は東高での交換授業に呼ばれるのではなく、朱美と悦子の二人に隣町の特殊なラブホテルの一室に呼び出されていた。それはいかがわしい目的で使われる一室らしかった。
「貴方たち、私をこんな奇妙な部屋に呼びつけて何をさせようと言うの?」
教え子の水泳部キャプテン、高野恭子が録られてしまったアダルトDVDのせいで二人の何でも言うことを聞かざるを得ない久美子もさすがに不安の色を隠せない。
「先生にはここでキャストを演じて貰うの。お客様の好みに合わせて演技をするって訳。」
「こ、この部屋はもしかしてSMプレイの為の部屋なんじゃないの?」
「あら、先生。よく知ってるわね。もしかして使ったこと、あるの?」
「そんな訳ある筈ないでしょ。私は高校の教師よ。」
「あれっ。先生、知らないの? 高校教師だって意外とこういうの、趣味にしている人も居るのよ。こっそりとだけどね。」
「ま、まさか・・・。」
「先生は勿論、マゾ役よ。相手のお客に合わせてやりたい放題をさせて、悦ばせてあげるの。先生から縛ってくださいってお願いするの。」
「そ、そんな事っ・・・。」
「出来ないって言えないわよね。だって、教え子のビデオ、困るんでしょ。ばら撒かれたら。」
「くっ・・・。」
それを言われると何も口答え出来なくなってしまう久美子なのだった。
「いいこと? お客の願いは何でも叶えてあげるのよ。お客様を悦ばせるのがアンタの仕事なんだから。まあ、そのうち慣れてくればアンタ自身もやられる事に快感を覚えるようになるから。そしたら好きなだけアンタも愉しめばいいわ。」
「そんな筈、絶対にありません・・・。」
そう言い切ったものの、久美子自身どうなってしまうか自信はなかった。
「さ、この服に着替えて。最初の客は女教師が好みなんですって。やっぱり女教師はダークスーツよね。最初はお客が乗りやすいようにあらかじめ縛って目隠しもさせておくことにするわね。さ、縛ってあげるから手を後ろに回しなさい。」
久美子はおとなしくされるがままに従う他はないのだった。
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