悪夢の前夜祭
第三部
六十一
くしゃくしゃにされていたのだが、間違いなくあの夜の凌辱される直前の美月が体育館の床にしゃがまされた時の姿をプリントアウトしたものに違いなかった。しかも自分の姿だけでなく、その前方に呼び出しに使われた早乙女玲子の映っているらしいDVDのパッケージまでがこれみよがしに翳されているのだ。
(どういう事・・・。)
おそるおそる紙を裏返してみると、カナ釘流の文字で命令が書いてある。
『あの晩のことをばらされたくなかったら、後ろでそっとパンティを脱いで隅のゴミ箱の中に入れておけ。』
早乙女玲子の画像まで入っているのは、明らかに脅しの脅迫文であることを示しているのに違いなかった。
(どうしよう・・・。)
男子生徒達はまだ皆、まじめにプリントに向かっている。しかしこのままずっと席の後方に美月が居続けたら誰かが不審に思って振り向かないとも限らない。そう思うと、悔しいが命令に従う他はないのだと美月は覚悟する。誰も振り向かないかどうか、男子生徒等の様子を伺いながらお尻のほうに手を回してスカートをずりあげると、ショーツの端を掴んでさっと踝まで引き下ろす。
足をショーツから抜き取ると手の中に丸め込んでゆっくりと教室の隅のゴミ箱に近づいていき、後ろ手のままポトリと脱ぎ取ったばかりのショーツを落とし込んだのだった。
その間、男子生徒は誰も顔を挙げることも、振り返ることもなかった。誰にも気づかれずに済んだと思っていた美月だったが、その様子をじっと教室の外から覗っている者が居た。朱美と悦子が自分達の授業をさぼって様子を見に、教室の後ろの扉のガラス窓越しに美月の様子を逐一見張っていたのだった。
次へ 先頭へ