悪夢の前夜祭
第三部
五十六
嫌々仕方なく東高へ交換授業の為に赴いた菜々子を迎えに出たのは他でもない朱美なのだった。
「先生。ようこそ東高へ交換授業にお出向き頂きありがとぅございます。」
白々しい朱美の言葉に、辺りに他の生徒が居ないのを確かめてから苦々し気に朱美に言い放つ。
「いい事。私は好きでこんな交換授業に来てる訳じゃないの。仕方なく来ているのよ。」
「あら、先生。そんな反抗的な言葉を吐かれていいのですか。」
「あ、うっ。そうだったわ。私は貴方の言うことは何でも言う通りに聞きます。その覚悟で来ています。今のは失言でした。」
一生徒に敬語を使って謝罪口調で話さなければならないのを屈辱的に思いながらも朱美の気分を損ねないようにそう言い繕った菜々子だった。
「交換授業の先生には控室を用意してあります。さ、こちらにどうぞ。」
そう言われて案内されたのは只の空き教室だった。
「ここは只の空き教室じゃないの。私が行くのは職員室じゃないの?」
「先生には交換授業の前にいろいろ準備があるのでここでやる事にしたの。」
「準備ですって?」
菜々子は嫌な予感に駆られながら朱美の様子をみる。
「まずはそのスカートを脱いで、こっちに穿き替えて貰うわ。」
「えっ?」
朱美に渡されたものは、菜々子が穿いてきたスカートと殆ど見掛けは変わらない色調のものだったが、布の量が明らかに少ない。
「こ、これ・・・。少し短いみたいだけど。」
「これじゃ、下着が覗いてしまうわ。」
「いいのよ、先生。下着は着けないんだから。」
「え、何ですって。」
「下着は着けさせてあげないのよ。さ、ここで脱ぎなさい。」
「そ、そんな・・・。こんなに短いスカートなのに。」
「パンツ、見られちゃうの嫌なんでしょ? だったら脱げばいいのよ。」
「そんな。そんな事したら・・・。」
「スカートの裾を前にぐっと引き下げるのよ。」
「で、でも。今度はお尻が丸見えになっちゃう。」
「背中側を見せないようにすればいいだけでしょ。」
「でも、そんな事・・・。」
「あ、もう授業が始まる時間よ。さ、先生。行くわよ。」
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