パンツ振り回し

悪夢の前夜祭


 第三部



 六十三

 「朱美。はい、あの先公のパンティ。先に回収しといたわよ。今頃、男子の誰かに取られたと思って蒼くなっている筈よ。それにしても朱美は上手いわね、人を誘導するのって。あの美月って先公。絶対松下菜々子を怪しいって思い込んだわね。」
 「ふふふ、アイツが騙されやすい体質だってだけよ。ちょろいもんだわ。」
 しかし悦子に褒められた朱美は満更でもなさそうだった。悦子から受け取った美月先生のパンティを指のさきに引っ掛けてくるくる回して遊んでいる。
 「折角ノーパンにさせたんだから、もっと追い詰めてやればよかったのに。」
 「あら駄目よ。あんまり深追いしちゃ、こっちが怪しいって思われちゃうわ。今はじわりじわりと西高の先生同士で疑いだすように仕向けるのよ。だからこのパンティ、あの松下先生のところに誰かの落とし物だって届けておくの。松下先生が自分のパンティを持っていたと知ったらあの如月先生、どんな顔するかしらね。」
 「なるほど。そういう作戦なのね。」
 悦子は朱美の狡猾さに舌を巻くのだった。

 一方の松下菜々子の方は、校長に東高から交換授業の一環として来ることになっている東高の校医でもある鬼頭正志を受け入れる準備をするよう命じられていた。
 「準備の整い状況は、東高の桐野朱美とかいう生徒に報告すればいいそうだ。君、桐野なんていう生徒、わかるかね?」
 「ああ、校長。その生徒のことだったら偶々なんですが知っています。」
 「なんでも、その鬼頭先生ってのが桐野っていう子の親戚か何からしいんだ。鬼頭先生は毎日は東高に出勤している訳ではないので、その生徒に言付けてくれということらしい。」
 「承知しました、校長先生。」
 菜々子は内心苦々しく思いながら鬼頭医師から送ってきたという、準備して欲しいという内容のリストを校長から受け取ったのだった。
 菜々子は最初の交換授業の後で四人の男子生徒に隣の空き教室に拉致されて、結局四人の精液を呑み込まされたのだった。それでその後、何とか東高内で朱美と悦子が居るところを見つけて抗議したのだった。
 「朱美さん。酷いわ。私が嘘を吐いた罰だと言われて四人の男子生徒に責められてしまったわ。」
 菜々子はフェラチオを強要され、精液まで呑まされたことは伏せて言葉を濁しておいた。しかしそのことはもともと朱美が男子生徒等に教え込んでいた事なので朱美たちはどういう事が起こったのかは把握していたのだ。
 「でも先生が嘘を吐いたのは事実なんでしょ。」
 「だって、パンティを穿いてないなんて言える訳ないじゃない。」
 「あら、そうかしら? 正直に『ええ、穿いてません』って言えばよかっただけじゃない。貴方は自分のしたことのせいで男子生徒達に責められたのよ。他人に責任を押し付けないで。」
 朱美にそうきっぱりと言い切られてしまうと、菜々子は自分が悪かったのだと思い込んでしまうのだった。
 そんな事があったので、朱美に報告に行かねばならないと聞かされて暗澹たる思いを抱いたのだった。

高野恭子顔

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