竹刀持込

狙われた弓道部長 麗華




 九

 「何なの、貴方達。ここは神聖な弓道の道場よ。そんなもの持ち込んでいったい何をしようっていうの。」
 部長である麗華が毅然として三人のスケバンの前に立ちはだかる。
 「アンタにヤキを入れてやる為さ。」
 「ヤキを入れるですって? いったいどうしてわたしが貴方たちにヤキを入れられなければならないって言うの?」
 「アンタが人の男を盗ろうとしたからよ。」
 「私が男の人を? 何を言ってるのか分からないわ。」
 「アタイたちがお前の身体に分からせてやるのさ。たっぷりと折檻してお前の身体にようく沁みわたるようにね。」
 「またこの間の男たちと私を戦わせるつもり?」
 「あはは。あいつらは駄目よ。あんなだらしないとは思わなかったわ。だけど、アンタも妙な技を使うことが分かったから、それなりの相手を用意させて貰ったわ。さ、晶姐さん。出てきて頂戴。」
 朱美が背後に声を掛けると見知らぬ女性が現れる。
 「だ、誰っ。あなたは・・・・。」

晶

 朱美に晶姐さんと呼ばれて道場に入ってきたのは、巨漢と言ってもいい大柄な女性だった。しかし麗華が驚いたのはその身体の大きさよりも、明らかに武道をやっていたと思われる隙の無さだった。
 (何かやってた人ね。油断ならないわ。)
 麗華は男たち三人を相手にした時よりも、遥かに緊張して身構える。
 「あの人、知ってるわ。以前にこの学校にも居た人よ。少林寺拳法をやっていて、その技を男たちに使って学校を退学になったのよ。確か、今は女子プロレスラーを目指してジムで特訓している筈よ。」
 (少林寺拳法・・・・。)
 晶のことを知っているという後輩の声を背後から聴きながら、更に心して掛からねばと気を引き締める麗華だった。

少林寺との対決

 「麗華っていうそうね。どんな武道を使うのか知らないけど、わたしの少林寺に勝てるっていうのなら、受けてみな。」
 晶と名乗った巨漢の女から繰り出されるハイキックの蹴り技は、麗華も舌を巻くほどのスピードがあった。
 (まともに受けたらとてもじゃないけど太刀打ちできないわ。)
 麗華も左右に身を交わしながら相手の隙を窺うが、簡単な相手ではないことは重々感じられるのだった。
 「麗華先輩、気をつけてっ。」
 不安になった美桜も堪らずに声を挙げる。
 「晶姐さん。一気にやっつけちまって。」
 スケバンたちも晶に加勢してけしかける。
 麗華は警戒して充分間合いを取っていた。しかし晶の回し蹴りのリーチは思いのほか長かった。その鋭い蹴りの先が思わず仰け反った麗華の鼻筋を掠める。大きく脚を振り回した瞬間が麗華に残された僅かなチャンスだった。軸足の脛を今度は麗華が蹴り返す。バランスを失って倒れ込みながら麗華の身体に掴み掛かろうと手を伸ばしたところをその勢いを使って捩じりながら腕を捉える。
 「あ痛ててて・・・。畜生っ。」
 麗華が腕を捩じりながら肩を抑え込んでいるので、晶は痛みで身動き出来ない。

麗華

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