狙われた弓道部長 麗華
十六
「貴方達ね。美桜さんを拉致したのは。約束どおり一人で来たわよ。私が言う通りに行けば美桜さんを解放してくれるのね。」
「アンタが大人しく言うことを聞けばね。」
「わかったわ。美桜さんのところへ案内して。」
「おっとその前にしておかなくちゃならないことがあるわ。アンタは手荒な武道を使うからね。両手の自由はあらかじめ奪わせて貰うわ。」
そう言ってスケバンの一人が手錠を取り出して麗華に翳してみせる。
「私に手錠を掛けようって言うの? いいわ。わかったわ。好きにするがいいわ。」
この者たちも以前朱美等が男三人を連れてやって来た時にあっという間に麗華に捩じ伏せられたことを聞いているらしかった。
「さ、こっちへ来て背中に両手を出して屈むのよ。」
麗華は一旦スケバンたちを睨みつけるが、美桜を放っておくわけにはゆかないのだと覚悟を決める。
「さ、いいわよ。」
麗華が大人しく両手を背中側に差し出すと、手錠を手にしたスケバンはこわごわと手を伸ばして麗華に手錠を掛ける。
麗華の両手が後ろ手で自由にならなくなったのを確認するとスケバンたちは安心したらしく、三人共麗華のすぐ近くに寄ってきた。
「さあ、言われるとおりにしたんだから美桜さんのところへ案内して。」
「まあ、慌てなくていいわ。それより、アンタが本当に従順になってアタイたちの言うことを聞く覚悟が出来てるかまずは試してからよ。」
「試す・・・?」
「アイツらを呼んできて。アンタはこっち。暫くこの杭に繋がれていて貰うわ。」
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