狙われた弓道部長 麗華
八
ビュッ。パシーン。
麗華が放った矢が道場に据えられた的の殆ど真ん中に刺さる。
「凄いわ、先輩。また、真ん中よ。」
「美桜さん。感心ばかりしてないで今度は貴方よ。来年には貴方に主将になって貰わなければならないんだから。」
「私に出来るかしら。主将だなんて・・・。」
自信無さ気に放った美桜の矢は的を逸れてしまった。
「もっと精神を集中させて。自信を持って放つのよ。美桜さん。」
「あ、はいっ。部長。」
その時、道場の入り口付近でドタドタと騒がしい音がして一人の下級生部員が二人の方へ走り込んできた。
「大変です。この間の時の連中です。」
麗華が入り口のほうを見やると、確かについ先日殴り込みを掛けてきたスケバンたちがまた竹刀を持ってやってきている。
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