煙草誘惑

妄想小説

罠に嵌るチア女子 蘭子



 七

 「ちょっと、ちょっと。蘭子、大変よ。」
 いきなりチア部の部室に走り込んできた美桜の姿に蘭子は顔を上げる。
 「いったいどうしたっていうの、美桜。また誰か東高の連中に拉致でもされたって言うの? 麗子だったらここに居るし・・・。」
 今朝方、東高の不良グループ等に拉致されてリンチを受けそうになった際にびしょびしょにされてしまった制服を部室の奥で干している麗子は運動服のジャージ姿だ。
 「そうじゃないのよ、蘭子。野球部の連中が部室で煙草を喫っているのを顧問に見つかったらしいの。今、緊急の職員会議が開かれているんですって。」
 「職員会議? 何でまた・・・。」
 「処分に決まってるじゃないの。」
 「処分ったって、野球部はこの間、今シーズンの最終試合を終えたばかりよ。今更処分っていったって・・・。退学にでもするつもりかしらね。」
 「違うわよ。運動部全体の連座責任を問うって、運動部全部の今後の試合は中止にするって言ってるらしいのよ。」
 「運動部全体って・・・。ま、まさか。バスケ部の今度の最終試合もって事?」
 「そうよ。だから大変って言ってるの。蘭子、どうする・・・?」
 「どうするって言っても・・・。」
 蘭子は思わずバスケ部キャプテンの氷川裕也の事を思い浮かべる。

蘭子

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