妄想小説
罠に嵌るチア女子 蘭子
二十三
虹子は写真部の連中が持ってきた写真を一枚、一枚チェックしていた。
「何よ、これ。まともに蘭子の恥ずかしがる顔が映ってるの、一枚もないじゃないの。」
持ってきた写真は確かに渡り廊下の最上階を走って逃げていく蘭子を撮っているので、短いスコートが翻って白いパンティが映ってしまっているものが何枚かはあった。しかし蘭子が巧みに顔を逸らしているので、誰を撮ったものなのか今一つ判然としないのだった。
「これなんかは惜しいわね。」
蘭子が最後に校舎の建物に走り込むところを前方から待ち伏せて撮ったものだ。スコートが大きく翻ってパンティが丸見えになっている。しかし蘭子の首から上が撮れていないのだ。
「これで、顔半分でも写っていたら使えるのに。こんなんじゃ辱めの為に見世物として東高の掲示板に貼りだすのには使えないじゃないの。」
「す、済みません。虹子さん。スコートが翻ってあそこが丸見えになったんで、ついそっちに夢中になってカメラを向けたんで顔が切れちゃったんです。」
「ったく、使えないわね。それに、ノーパンにしてやった他の部員たちのは一枚もないの?」
「済みません。蘭子さんを追うのについ夢中になって追っ掛けてしまったので。他の子たちがノーパンだったなんて知らなかったんです。」
「言い訳はもういいわよ。まったくどいつもこいつも役立たずね。折角いい場面をお膳立てしてやったというのに。」
蘭子たちを縛ったままで渡り廊下の最上階を走らせ、スコートの裾を抑えられないチア女子達を下から撮って写真を貼りだすという虹子の作戦は完全に失敗に終わったのだった。
「ったく、三浦の奴もフェラチオはさせないって言って、姿くらましたままだし。いいわ。蘭子には私の命令に嫌とは言えないんだから、もっと違う手でとことん辱めてやるわ。」
虹子はそう言ってその日の放課後に呼び出す予定の蘭子を辱める手を思案するのだった。
「ねえ、蘭子。あなたあの後、大丈夫だった。」
「うん、カメラ小僧たちに散々追い掛け回されたけど、顔は写させないようにしたから。パンチラは何枚かは撮られちゃったと思うけど・・・。それより、あなたたちは大丈夫だったの?」
「うん。蘭子が囮になってくれたおかげでね。あいつらが蘭子に気を取られて追っ掛けて行ってる間にさっと渡り廊下から下に降りて皆で逃げたから誰も写されてないと思うわ。」
「それにしてもノーパンにしてカメラ小僧に追い掛けさせるなんて、サイテーね。東高のあいつら。」
「ああ、バナナミルクセーキなんて思い出しただけでも気持ち悪い。もう一生、バナナミルクセーキは呑めないと思うわ。」
「ああ、それもう言わないで。忘れたいんだから。」
「ねえ、蘭子。あいつら、蘭子の処刑は明日に延期だとか言ってたけど、呼出しなんかに応じちゃ駄目よ。わたしたちがもうたっぷり賭けの代償は払ったんだからもうあれで充分よ。」
「え? ええ、まあ・・・。だけど・・・。」
「あんなの、気にする事ないんだからね。私達が蘭子のこと、守るから。」
「ああ、ありがとう。」
美桜たちが気を遣って呉れる事はありがたかったけれど、蘭子にとってはチア部の部長として部員たちだけにあんな酷い処刑をさせておいて自分だけ逃れるなんて出来ないと思っていたのだ。
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