妄想小説
罠に嵌るチア女子 蘭子
二十二
東高の体育館はもう何度も来たことがあり、鍵が掛かっていないとすればあの扉だろうと見当を付けていた外トイレとの行き来の扉を目指した。果たしてその場所はやはり鍵が掛かっていなかった。音がしないようにそおっとゆっくり扉を開くと中に滑り込む。
体育館の中は常夜灯が幾つか灯っているだけで薄暗い。それでも目を凝らせば見えないこともない。睦男はステージ脇の用具室の扉へまっしぐらに音を立てないようにそろりそろりと歩を進めた。
用具室も鍵が掛かっていないことを確かめると引き戸を開けようとしてふと思い出す。
(そうだ。先に下着を脱いで待っていると書いてあった。彼女だけが裸だったら恥ずかしがらせることになってしまうかもしれない。)
そう思うと、用具室に入る前にジャージの下とトランクスを脱ぎ捨てることにした。辺りが薄暗いことが下半身裸のフルチンになることに躊躇いを生じさせなかったのだ。
(まずは唇を奪うべきだろうか。それとも気が変わらないうちに一気に押し倒してしまうべきか。)
下半身がもう準備出来てることに気付いたら向こうから脚を広げてくれそうな気がしてきた。考えているだけで自分の股間のモノがどんどん大きく、硬くなっていくのがわかった。
睦男はもう一度ゆっくりと生唾を呑み込んでから用具室の扉を横にスライドさせていく。中は常夜灯の明かりが届いていなくて体育館側より更に一層暗かった。
「沙季ちゃん。居るのかい?」
出来るだけ小さな声でそっと呟くように囁いてみる。
睦男は昼間来た時の様子を思い返していた。真ん中付近に跳箱台が置いてあって、その奥に体操用のマットが積まれていた筈だ。居るとすればそこしかないと見当を付けた。音を立てないように慎重に跳箱に手を伸ばし、手探りでその先のマットのある辺りを目指していく。
その時、睦男を眩い閃光が襲った。それも一つではなく幾つかの方向からスポットライトのようなものが当てられたらしかった。眩しくて睦男のほうからは逆光になって良く見えない。
「な、何だ。いったい・・・。まぶしいじゃないか。」
腕を目に当てて光を遮りながらライトが差してくる方向に目を凝らす。黒い人影が幾つか見えたような気がした。その時、ふと自分は下半身を剥き出しにしていたことを思い出した。
「や、やべえ・・・。」
ビンビンにいきり立っている股間のモノに煌々と光が当てられていた。慌てて両手を当てて隠そうとすると、また眩しい光をまともに浴びることになってしまう。
片手だけ股間を隠したまま、もう片方で光を遮る。
(パンツ、穿かなくちゃ。)
そう思って用具室の入り口の方へ振り返った時に、その扉がするすると動いてガッシャーンと大きな音を立てて閉められるのを目撃する。
慌てて近寄った時には外側から誰かが錠をおろしてしまったらしくビクともしないことが判る。睦男は自分の剥き出しの尻に煌々と明かりが照らされていることに気付いて、慌てて後ろ手て尻を隠そうとする。
「誰なんだ。明かりを消せっ。」
たまらず大声で叫び声を挙げると、光が差す方から「キャハハハっ」と甲高い笑い声が響いてきた。
「何なんだ。お前等、女か? 何しようってんだ、お前等。」
段々睦男にも状況が掴めてきた。
(自分は騙されたのだ・・・)
やっとそう気づくと無性に腹が立ってきた。よく見えないまま声のするほうに走り寄って闇雲に掴みかかる。睦男の手が柔らかい女性の手に一瞬触れた。すぐに掴もうとするがするりと睦男の手から逃れてしまう。手探りだけで女を捕まえようと手を伸ばす。しかしその直後に睦男が感じたのは火花を挙げて音を立てているスタンガンの激しい激痛だったのだ。
「ううっ・・・。くそう・・・。」
「あら、簡単にのびちゃった。スタンガンって、結構効き目があるものなのね。」
「こいつ、まだ勃起してる。気を喪ってもチンポは立ったままなのね。きゃはっ。」
「さ、今の内よ。例の赤チン、持って来たわよね。」
「マーキュロクロムね。ちゃんと保健室からくすねてきたわよ。これ、随分古そうだけど、大丈夫かしら。」
「別に消毒する訳じゃないから構わないわよ。さ、早く、こいつのここを真っ赤に塗っちゃうのよ。やあ、勃起してるから塗りやすいわ。タマタマにも塗っちゃおっと。」
「ほうら、真っ赤になった。将に赤チンそのものね。きゃははは。」
女達が気絶して泡を吹いて倒れ込んでいる睦男の剥き出しの股間に代わる代わる交替で悪戯をしていくのだった。
「こいつ、沙季と本当にやれると思ったのかしら。本当にズボン脱いでくるなんて、間抜けね。」
「あ、こいつの先っぽ見て。包茎だわ。」
「あ、本当だ。包茎だ。写真、撮っちゃおっと。」
女達がつぎつぎにスマホのストロボで剥きだしの睦男の股間を写真に撮っていく。
「あんた、何かウチらにしようとしたら、この写真ばらまいてやるからね。うひひひ。」
ポルノリベンジに使えそうな写真をしっかり撮り終えると用具室の床にのびたままの睦男を置いて少女たちは引き上げていく。用具室の扉の外に落ちていた睦男のジャージとトランクスは女たちに拾われて焼却炉の中に投げ込まれてしまうのだった。
次へ 先頭へ