妄想小説
罠に嵌るチア女子 蘭子
十六
蘭子たちが連れて来られたのは、何と体育館脇に立つ男子用のトイレだった。入り口付近には虹子の親衛隊の一部が立ちはだかって人払いをしている。蘭子たち、チア部の精鋭五人は男子トイレの真ん中のタイルの上に並んで立たされていた。目の前には男性用特有の小便器が並んでいて、女子達には目を逸らさずにはいられない。
「どうしたの。男子トイレの便器がそんなに恥ずかしい? 私達に負けたアンタ達にはお似合いの場所よ、どう?」
蘭子たちは口惜しさに唇をかみしめる。
「さ、ぼおっと立ってるんじゃなくて穿いているアンスコをさっさと脱ぐのよ。」
「えっ、何ですって?」
突然命じられたことに蘭子たちは耳を疑う。
「ね。どうする、蘭子?」
「仕方ないわ。何でも言うこと、聞くって約束したんだから。」
リーダーである蘭子から率先して命じられた通りにスコートの中に手を突っ込んで穿いていたアンスコを降ろす。その姿を見た他の四人も習ってアンスコを脱ぎ始めた。
「脱いだら、それをそこの男子小便器の中に投げ入れるのよ。」
「えっ、便器の中へ・・・。」
思いもしなかったあまりの命令に言葉を失う西高チア部の面々だった。最初に蘭子が便器の中にたった今まで穿いていた生温かいアンスコを摘んでポトリと落す。体育館脇の男子トイレは掃除が行き届いていないようで、便器も薄汚れている。そんな中に自分のユニフォームを投げ入れなければならないのは思っても見ない屈辱だった。便器は蘭子たちと同じく五基並んでいるので、その一つひとつにアンスコが投げ入れられる。
「さ、皆んな。ちゃんと入れたわね。じゃ、流すよ。」
トイレの端に立っていた沙季が天井付近に取り付けられた水槽から伸びる鎖を曳くと、清掃用の水が便器に一斉に流れ始める。
「あっ・・・。」
自分たちのアンスコがみるみる溜まって行く便器の水にぐしょぐしょに濡れていくのを観て、蘭子たちは思わず声を挙げる。
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