
悪夢の前夜祭
第一部
七
バチバチバチバチっ。
後ろから玲子の首筋に当てられたスタンガンが閃光を放つ。玲子は声を上げることも出来ずに呻き声と共に部室の床に崩れ落ちる。
「さ、こいつを縛ってしまうのよ。こいつはテニス部顧問の如月美月って先公を捕らえる時の囮に使うんだから、口にガムテープ貼ってロッカーの中に押し込んでおくのよ。」
「オッケー。あら、こんなアンスコを穿いていたのね。これ、脱がしちゃおうか。」
悦子は床に倒れこんでいる玲子の両手を背中に回させて手首のところで括り付けてしまうと、足の先で短いスコートを捲ってその下に穿いているアンスコを露わにさせながら言う。
「そうね、悦子。いつもアンスコしか見せて貰えない男子にとって生パンを晒している憧れのキャプテンの姿は刺激的でしょうからね。」
「そうよね。あら、こんなショーツ穿いてたんだ。スコートから生パン晒して恥ずかしがる顔が早くみたいわ。」
次にやって来た水泳部のキャプテン、高野恭子にもほとんど同じ手口を使う。プールサイドにある女子水泳部の更衣室まで付いていった朱美と悦子は恭子が水着に着替えたところを狙ってスタンガンで襲ったのだった。恭子も後ろ手に両手首を縛ってしまうと、歩けないように脚を開かせて掃除用のデッキブラシの両端に足首を括り付けてしまう。
「さ、次は弓道部の真行寺麗華ね。私、生徒会室に戻って真行寺が来るのを待つわ。アンタは武道場の女子更衣室に隠れて待ってて。武道着に着替えたところでスタンガンで気絶させるのよ。」
「オッケー。任しといて。」
次にやってきた弓道部主将の真行寺麗華も、生徒会長が運動部宣伝の為のポスターを撮るのだと告げた二人の東高女子生徒の言葉を全く疑っていなかった。二人の前でさっと弓道着に着替え終わったところをスタンガンで襲われる。
次はチアリーディング部の部長、浦部貴久子だった。
「アンスコまでは要らないわよね。」
着替えながら朱美たちに尋ねる貴久子に二人は顔を見合わせてニヤリとする。
「あ、大丈夫。スコートが翻るような写真を撮る訳じゃないから。」
「じゃ、これでいいかしらね。」
チアリーダーの恰好に着替え終わった貴久子は二人に向かってポーズして見せる。
「ほら、何とかっていう両手で振り回すヒラヒラしたもの。あれは無いの?」
「ああ、ボンボンのことね。あるわよ。ちょっと待ってて。」
ボンボンを探して貴久子が棚の方を向いて背中を見せたところにスタンガンを持った朱美が近づいていく。
バチバチバチバチッ。
貴久子も一撃でスタンガンの餌食になってその場に崩れ落ちる。
「どれ。アンタはどんな生パン、穿いているんだ? へえ。白の水玉かあ。ねえ、朱美。こいつ、いつものポーズで足を大きく上げさせて生パンを晒させるの。どうかしら?」
「ああ、いいわね。こいつは片足を大きく持ち上げて括り付けてその上で手錠を掛けちゃえばいいわ。」

こうして弓道部主将の真行寺麗華、チアリーディング部の部長、浦部貴久子が次々に東高のスケ番等の毒牙に陥って、それぞれの部室に逃げられないように縛られて捕獲されていったのだった。
「さ、今度は顧問の先公達よ。相手は大人だから気をつけて掛からないとね。ちょっと慌てさせるのが肝心なのよ。」
「それで囮を使うって訳ね。」
「そう。大事な教え子が大変な目に遭ってるって見せてパニックにさせ、そこに付け込むって訳。」
「なあるほどね。頭、いい。朱美って。」
そんな相談をしているところへのこのこやって来たのがテニス部顧問の如月美月だった。

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