悪夢の前夜祭
第一部
十六
体育館奥の用具倉庫には生徒会顧問の松下菜々子が後ろ手に縛られたまま床に転がされている。朱美たちがやって来たのをみると、ガムテープを貼られた口で必死に抗議しようとするが、くぐもった呻き声しか出てこない。
「うう、うううっ、うう、うう・・・。」
「松下先生? 何か言いたそうね。ああ、アンタの可愛い教え子の生徒会長のことね。大丈夫よ。この西高文化祭前夜祭のイベントでメインの主役の一人になって貰うことにしたから。今、準備が整ったところよ。先生、見たい? アンタの可愛い教え子の様子。ほら、このスマホの動画を見てごらん。これは実況中継だよ。」
朱美は菜々子先生の前に生徒会室で撮影中のスマホからの動画を翳して見せてやる。
そこに映されていたのは暗闇の中に煌々と光るスポットライトに照らされて縛られたまま吊るされている生徒会長、水野美保の哀れな姿だった。ブラウスの裾ではっきり見えないものの、下半身には何も穿かされていないのが明らかだった。
「このスマホはここに置いておいてやるから、今宵の前夜祭の特別ショーの様子を最後までちゃんと目に焼き付けておくのだよ。じゃ、ショーが始まるまであとちょっとだけ待っていな。」
「うう、ううっ。うう、ううううう・・・。」
目の前に生徒会長の無残な姿が動画で映されているスマホを置かれたまま、二人が出ていこうとしているのを松下菜々子は何も出来ずにただ見送るしかないのだった。
「この倉庫の鍵はちゃんと掛けておくのよ。男子たちが間違ってこの先公まで犯しちゃったりしないようにね。」
悦子は朱美に渡された錠前を松下菜々子を閉じ込めた倉庫にしっかり掛けておくのだった。
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