悪夢の前夜祭
第一部
十一
「水が欲しいのでしょ。あげるわよ。ほらっ。」
口に押し当てられたものがカップに入った水のようだと気づいた美保はそれが何なのかも考える余裕もなく、堪らずに吞み込んでしまう。
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ・・・。
「プファ・・・。うっぷっ・・・。」
呑み込み損ねたカップの水の残りを唇の端から垂らしながら漸く美保は息を吐く。
「ゴホ、ゴホッ・・・。な、何をするの?」
辛子をたっぷり塗りたくったフランクフルトを咥えさせられ、堪らずに強力な利尿剤を仕込んだ水をコップ一杯吞まされたとも知らない生徒会長の美保が憤ってみせるのを、朱美はほくそ笑みながら悦子にウィンクして見せるのだった。
「お水のお代わりはいかが?」
朱美のおどけた口調に目隠しをされたままの美保が顔を上げる。口の中はまだ少し痺れていたのだが、たっぷり500mlは吞まされたようでお腹が膨れてもう飲めそうもなかった。
「け、結構よ。もう十分。」
朱美はニヤリとすると、美保に付けた目隠しを外し美保の目の前に辛子を塗ったフランクを翳してみせる。
「お水が要らないんなら、こっちのほうをお代わりさせようか。さっきアンタが咥えたのはこれよ。フランクフルトのフェラチオ、もう一度してみる?」
「い、嫌です。もう赦してっ。」
美保は慌てて横に首を振る。
「大分、辛かったようね。言う事聞かないと、もう一度無理やり突っ込むからね。分かった?」
「うっ・・・。わ、わかりました。」
もう一度咥えさせられては堪らないと思い、美保は素直に頷くのだった。
「さて、こいつはこのままここに置いておいて、順番に廻らなくちゃね。次、行くわよ。悦子?」
「はいよ。」
悦子は朱美に促されて、フランクフルトや辛子のチューブ、ペットボトルに入った大量の液体などが入った袋を肩に下げると朱美に付き従う。
「ねえ、朱美。さっき生徒会長に呑ませたの、只の水じゃないんでしょ。」
「当たり前でしょ。小細工って言ったでしょ。これから女子キャプテンたちは前夜祭で東高の童貞どもに犯されるのよ。普通だったら訴えて出るわ。だからそんな気持ちが起こらないような目に遭わせるの。この水は強力な利尿剤がたっぷり仕込んであるの。一時間もしないうちにおしっこがしたくなって堪らなくなるわ。あいつら、男どもに凌辱された後、犯された男たちの目の前でお洩らしをしなくちゃならないって訳。たった今、自分を犯した男の前でおしっこを洩らさなくちゃならないの。あいつらの自尊心をズタズタにしてやるの。私達はこんな事されましたなんて、二度と口には出せなくなってしまうわ。」
「それ、凄いわ。頭、いい。朱美ったら。」
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