妄想小説
恥辱秘書
第一章 嵌められた女秘書
一
芳賀章一郎の前を深堀美紀が歩いている。いつも決めているタイトなミニスカートを穿きこなし、颯爽と風を切るように胸をそらしてあるいている。美紀は事務所内でも有名なスタイルの持ち主で、すらっとしたスリムなボディを余計に引き立たせる格好で、男たちの注目を常に集めていた。
顔は愛くるしいタイプというのと違って、聡明そうなちょっときつめの目つきと、鼻筋の通った西洋人の様なきりっとした顔立ちが、男たちに簡単には言い寄りがたくしていた。
知らない者は独身女性と誰もが思うらしいが、結婚はしている。しかし、社内で彼女の連れ合いについて、誰も詳細を知るものはなかった。
芳賀もいつも横目で美紀の動きを追っている者の一人だった。何気なく視線に入ってきても、そのまま目線が無意識に追ってしまうのだ。
その美紀が今しも、芳賀の目の前を颯爽と歩いている。特に何か用がある訳ではないのだが、自然と付かず離れず美紀を追うような形になってしまっていた。
芳賀は以前から、美紀の歩き方には特徴があるような気がしていた。それは、よく言われる、モデルやキャビンアテンダントのような爪先を常に前にだしてゆく颯爽とした歩き方という表現では何かあらわしきれないような気がしていたのだ。
そして、この時、美紀の後を少し間を空けてつけながら、なんとなく分かったような気がした。何か脚の付け根に物でも挟まっているような感じなのである。そう、その言い方がぴったりしていた。決してがに股というのではない。が、前に踏み出す時に、微かだがいつも、外側に踏み出している。
(そう言えば)と、ふと思い出したことがあった。以前に美紀の席のすぐ横に立っていて、美紀が何かの用で席の椅子から立ち上がろうとするところを目撃したことがある。ただでさえ短めのスカートだが、タイトな為に座ると更に上にずりあがる。腿のかなり上のほうまで顕わになってしまうのだが、その剥き出しにされた両腿をぴたっと閉じずに開きかけたまま立ち上がろうとしたのだ。ちょうど立ち上がってすぐこちらを向こうとしていたので、開かれた脚がこちらを向き、スカートの奥が覗きそうになった。突然のことで、その奥の暗がりに白いものが見えたかどうか、芳賀にははっきりしない。が、見えてしまってもおかしくないような立ち方だった。
その時も(あんなに脚を広げたまま立ち上がるなって、まるで脚の間に何か挟まってでもいるみたいだ)と何となく思ったのだった。
そういう気持ちで美紀の歩き方を後ろから見つめると、どんどんそれが確信に感じられてくる。
美紀は事務所の入り口の扉を出て、廊下に出た。芳賀も少し遅れて扉を出たところで足を止めた。美紀は廊下を曲がって給湯室のほうへ入ったようだった。
その時、芳賀は何故そんなことをしたのか今でもよく分からない。虫の報せというやつかもしれないと後で思った。
足音を殺し、一歩一歩すり足をするようにそっと給湯室に近づいていったのだった。そして、ゆっくりと首だけだして給湯室をそっと覗き込んだのだ。
奥に美紀が後ろを向いて立っていた。少し頭を屈めて、スカートの裾のほうをいじっているように最初見えた。しかし見つめているとそうではないことがやがて分かった。スカートの中に手を突っ込んで奥のほうを何やら手にしたもので拭っているらしかった。思わず喉が鳴ったような気がして芳賀は顔を引っ込めると給湯室の外でひとつ咳払いしてからすぐに給湯室の前に立った。
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