逆襲1

妄想小説

恥辱秘書






第九章 美紀の逆襲


 一

 あの日は、万一美紀が訴えてくることを怖れて、デジカメを鞄に忍ばせて早々に単身赴任の独身アパートに引き上げた矢作だった。玄関の鍵を厳重に掛けて、部屋の明かりを消し、ひっそりと布団に潜った矢作だったが、目をつぶるとその日の強烈なシーンが次々に瞼に浮かんできた。
 急な螺旋階段から見上げた時にはっきりみた短い制服スカートの奥の白いデルタゾーン、矢作の掌の中に突然舞い降りてきた女の豊満な胸の膨らみ、奥の書棚の最高段を調べるために脚立に上がった女の短いスカートから露わになった白い太腿、そしてなにより、括られて自由を奪われ、下着をおろされた女の姿、そしてその放尿シーン・・・。

 いつしか矢作の股間は痛いほどに勃起していた。いきなり放尿されてしまったために、挿入の機会を逸してしまった。それが矢作には惜しくてたまらなかった。口の中に無理やり押し込んで、射精したのを思い出しながら、自分の屹立したものをしごくが、いまひとつ物足りない。
 そして、デジカメで哀れな姿を修めたことを思い出す。
 (そうだ、あの写真を調べなくては。)

 矢作は単身赴任先にはパソコンを持っていない。会社の事務所に割り振られた端末があるだけだ。矢作はデジカメの中身を調べることを想像するだけで、居ても立ってもいられない。

 翌朝は、もう美紀から訴えられる心配などそっちのけで、デジカメ写真のファイルを開いてみたい一心で、朝食も採らずに早々と会社へ出掛けた矢作だった。
 それでなくてもだいたいは事務所に出るのは大抵は一番早いのが矢作だった。単身赴任生活ではアパートに居てもさしてすることがないからだ。
 誰も居ないアパートの鍵を開け、すぐに自分の席のパソコンの電源を入れる。立ち上がるのが遅くてもどかしい。いつもの待ちうけ画面になったところで、すぐさま接続コードを差し、鞄からこっそり取り出したデジカメに繋ぐ。建築業者の工事検収立会いでいつも使っているので、使用法には慣れていた。
 「おおっ、・・・。」あられもない女の姿態に、矢作は思わず唾を呑み込む。

 その写真をプリントアウトしたい誘惑に駆られたが、どこで発覚するか判らず危険と、思いとどまる。デジカメの写真を全部チェックし、それを自分専用のメモリーカードに落とし込むと、デジカメの記憶を消去して、いつもの棚にそっと戻す。
 そしてそのメモリーカードを胸のポケットに大事そうに忍ばせると、まだ誰もいない廊下を抜け、男子トイレの個室に入って、しっかり鍵をかけ、今観た光景を思い出しながら自慰を始めた。

 あの日、矢作に散々弄ばれた美紀は、やっとのことで汚れた下着とスカートを取り戻し、暫く地下書庫の奥で泣いていたが、漸く気を取り直し、身繕いをして立ち上がった。パンティは乾き始めていたが、臭いは消えていないので、穿かずに丸めてポケットに忍ばせた。こっそり洗って、自分のロッカーの中で干すしかないと思った。手首にはうっすらと手錠の痕が、赤い痣のように残っていたが、気をつけて見なければわからないほどだ。
 勝気な美紀は、矢作の事務所へ行って睨み付けてやりたい気分だった。しかし、矢作が出ていってからもう大分時間が経っている。その間に、自分のあられもない姿を撮った写真をどう処理しているか判らない。突然、振り回されたり、ばら撒かれたりするかもしれない。今はじっと様子を伺い、相手の反応を待つしかないと思った。矢作が最後に言ったように、黙っていれば何もしないでいてくれるかもしれない。しかし、男の欲情はそんなものではないことを、芳賀の経験で美紀は十分懲りて判っていた。

 美紀が密かに怖れていたように、矢作からの呼び出しメールがあったのは三日後だった。(あの写真を見せたいから、今日の午後独りで、あの時の地下書庫へ来い。)と書いてあった。おそらく写真をネタに、身体を求めてくるつもりなのだとすぐに悟った。

 美紀は、芳賀に助けを求めることにした。芳賀の仕打ちのせいでこんな窮地に立ったのだ。あの日は、事務所に戻った時は、他の者が何人も居たので、芳賀も何事もなかったかのような知らん顔であった。美紀はまだ後ろ手に手錠を掛けられたままだったので、手錠隠しの書類入れを背中で持って素知らぬ振りをしながら芳賀の席まで行って後ろ手に預かっていた携帯とイアホンを芳賀の机に置く。代わりに芳賀から手錠の鍵を渡して貰うと、背後の芳賀をちらっとだけ恨めしそうに睨んでそのままこっそり手錠を外す為に給湯室へ向かっただった。

 矢作の呼び出しは午後2時だった。それまでに対応策を考えねばならない。芳賀に秘密に連絡する為に、美紀は芳賀に電子メールを打つ。
 「芳賀さん。矢作に呼び出しを受けてしまったわ。矢作は私の恥ずかしい格好の写真を撮っていて、それをネタに嚇しているの。何とかして。美紀」
 事務所の斜め向こうに芳賀が居るのが見える。パソコンに向かっていて、画面を見ている。メールが届けば、受信のマークが付いて気づくはずだった。
 素知らぬ顔で芳賀はパソコンに向かって作業を続けていた。が、すぐに美紀のパソコンの受信マークが点滅する。芳賀からだった。
 「非常階段に出てまっすぐ屋上へ向かう階段まで昇ってまっていろ。」
 たったそれだけのメッセージだった。

 美紀と芳賀が居る事務所は5階建の鉄筋コンクリートの建屋の最上階だ。エレベータの隣に大きな鉄の扉があって、そこから非常階段へ出れる。
 普段はエレベータを使うことが多いが、階段で降りることも出来る。階段は5階からさらに上へ屋上へ向かって続いている。屋上には何もなく、屋上へ出る扉は通常施錠されているので、誰も行き来をする者も居ないし、普段から明かりもついていなくて薄暗くなっている。
 そのひと気のない薄暗い階段を、美紀は不安な面持ちで他人に見つからないようにこっそりと昇っていった。屋上へ出る扉はやはり施錠されている。美紀は、明かりを点けずに暗い中でじっと芳賀を待った。

 暫くしてコツコツという音が非常階段内に響き、男の影が近づいてきた。芳賀だった。
 芳賀は美紀の前を横切って、まっすぐ屋上への扉に向かい、ポケットから鍵を出して、扉を開け、美紀に屋上へ出るように顎で合図する。

 美紀は言われたままにするしかない。暗がりから外へ出ると、晴天の青空が広がっていて眩しい。この建物の屋上へ出るのは初めてだった。四角いビルの外壁に沿って腰より少し高いくらいの塀で仕切られている。近くにはこの建物より高いものはないので、塀に寄りかかって覗き込まない限り、空しか見えない。まわりからも、塀に寄りかからない限りは覗かれることもないだろう。

 芳賀は美紀を入れると自分も屋上へ出て、背後の扉に再び鍵を掛ける。

 「芳賀さん。何とかして。大変なことになってしまったわ。あなたのせいよ・・・。」
 なじるように美紀は芳賀に言った。ついつい声が高くなってしまうのを、ふと気づいて声を途中から顰める。芳賀の口から出た言葉は、思いがけないものだった。
 「それが、奴隷がご主人様に向かって掛ける言葉遣いか。お前は自分の身分を何だと思っているんだ。」
 美紀は屈辱的な言葉に一瞬声を失った。しかし、確かに美紀は芳賀に口答えを出来る立場ではないことを思い出した。
 「す、済みませんでした。つい、慌ててしまって・・・。申し訳ありません。」
 芳賀は暫く、美紀を睨むように腕を組んで見つめていた。美紀は蛇に睨まれた蛙になったような気がして、思わずあとずさりする。
 「そこへ着ているものを全部取って、置け。素っ裸になるんだ。」
 芳賀の言い方は、有無を言わせぬ強い口調だった。
 美紀はすこし躊躇ったが、唇を噛んで、胸の釦を外しはじめた。制服のベストを脱ぎ、下に着ているブラウスも釦をすべて外す。白いブラジャーが芳賀の目に止まる。
 手を後ろに回して制服のスカートのホックを外し、思い切って下へ下ろす。ブラウスの裾からチラッとパンティが覗くのを芳賀の視線が追っている。
 芳賀は(さあ、それから・・・)という目で美紀を見ている。美紀は仕方なくブラウスの袖から腕を抜いて、前にブラウスを落とした。(もう抵抗しても無駄なのだ)と悟って、躊躇するのはやめ、背中に手を回してブラジャーを外すと、目の前に投げ、そのまま腰の両脇に手をやって、パンティを下ろして片方ずつ脚を抜く。さすがにパンティをそのまま放るのは躊躇われて、そっと内側のクロッチ部分を中にまるめこむようにして広がらないようにそっとブラジャーの上へ置く。
 手は自然と下腹部の茂みを抑えている。パンティを置くとその手も胸の乳首を隠すように被う。
 その美紀の前に芳賀が何かを放り投げた。ガチャリという重い音がした。手錠だった。
 「後ろ手に自分でかけろ。」
 美紀はいつもの調教で手錠の扱いにはもう慣れていた。しゃがみこんで拾うと陰部を隠していた手を外して、手首に掛け、両手を後ろに回して、もう片方の手首にも嵌める。もう陰部も乳房も隠すことが出来ない。
 「そこに跪づいて、土下座の格好になって喋るんだ。」
 美紀は、芳賀にどういう態度で出ればいいのかを理解した。自分の言い方に芳賀を批難するような口調があったことを認めた。勿論、それは納得できるものではなかったが、芳賀には屈服しなければならないのだと悟った。

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