看護11

妄想小説

恥辱秘書






第四章 診療所への罠


 一

 芳賀はその日の首尾に酔っていた。こんなに上手くいくとは思いもしなかった。この成功に気をよくして、次の辱めのたくらみのアイデアが芳賀の頭の中に構築されつつあった。

 芳賀にとって、診療所の晴江が意のままに操れるということはとても都合が良かった。診療所というのは会社の中にあって特殊な立場にあるからだった。
 芳賀自身、総務課長という立場にあるので、それはそれで都合が良かった。従業員一人一人の健康にかんする個人情報などが、芳賀の手を経由して社員に渡される仕組みになっている。
 芳賀は晴江を使って、深堀美紀の診療所の健康診断の再検査をでっちあげることを思いついていた。晴江は芳賀の命令には逆らえない。どんな嘘の通知も診療所からのものとして書かせることが出来るのだった。

 芳賀は晴江に命じて、深堀美紀宛の健康診断の再検査の呼び出し状を書かせることにした。ちょうど定期健康診断が終わったばかりだった。再検査の通知が出るのはおかしくない時期だ。しかも、その手の通知は総務課長の芳賀の手から個人に渡されることになっているので、嘘の呼び出しであっても他の誰にも気づかれずに行うことが出来るのだった。

 芳賀から手渡された診療所の呼び出し状には、「内臓障害の可能性があります。再検査の為xx月xx日診察を受けてください。」と書かれてあった。それが芳賀の意図によって捏造されたものとは知る由もない美紀は全く疑うこともなく、その日の検診に向かうのだった。

 が、その日は診療所はいつも芳賀が利用している医師、主な看護婦が不在の日なのであった。何も知らない美紀が診察票を持って診療所の受付へ向かう。そこで初めて先日の女が診療所の受付に居たことを思い出したのだった。
 しかし、受付の晴江は無表情だった。美紀のほうも何事もなかったかの様に振舞った。お互い思い出したくもない思い出だった。

 晴江は感情を殺した事務的な言葉遣いで、美紀を奥の部屋へ導いた。晴江は美紀に、全身裸になって、被爆防止のエプロンだけを着けてレントゲン撮影室に入るよう、きわめて事務的に指示した。全くの見知らぬ者への話し方だった。
 美紀のほうも、まったく見知らぬ者であるかのように晴江に応対した。自分は被検査者であって、貴方とは何の関係もないという風を装ったのだった。

 レントゲンの控え室に入って、先ほど晴江に言われたように全裸になった。レントゲン撮影は微妙なので、衣服は全く着けないようにと何度も念を押して言われていた。代わりに、局部を隠す被爆防止エプロンだけが渡されていた。
 美紀は最初レントゲン撮影と言われて慌てた。それも全身撮影というのを聞いてパニックになった。勿論、下腹部のベルトは外すことが出来ないからである。普段の健康診断では簡易的な胸部の撮影しかないので、下半身の戒めを見つかる心配はなかった。が、全裸になることは、腰のベルトも鎖も股間の器具まで露わにされてしまうことを意味した。

 しかし、渡された被爆防止エプロンを見て少し落ち着いた。それまでは(今日は都合が悪い)と言って帰ってしまおうと思っていたのだ。(これなら何とか隠せるかもしれない)そう思った。

 エプロンを身につけてみた。腰に巻く帯が結構幅広いものだったので、何とか鋼鉄製のベルトは隠せそうだった。しかし前に垂れた褌のようなエプロンは意外と小さく、股間がやっと隠れるくらいだ。斜め横から覗かれたら、拘束具に気づかれてしまうかもしれない。しかしもう後には引けなかった。
 レントゲン室は以前にも入ったことはあった。横の壁にガラスの入った小窓があって、そこからレントゲン技師が見ながら隣の部屋から指示を出すのだ。そこからなら見つからない自信があった。
 「じゃあ、そこの足の形のマークがあるところにカメラに正面を向いて立ってください。」

 隣の部屋からマイクを通してくぐもった様な声が聞こえた。美紀が見ると、窓の正面の壁際に窓のほうを向いて立つように足のマークがある。その正面、ガラスの小窓の隣にカメラがセットされていた。思ったより小型のものだった。まさか、それがX線撮影機ではなく、普通のデジタルカメラであるとは美紀は思いもしない。そして、壁の向こうのレントゲン技師は実は芳賀であるなどとは、騙されている美紀は気づきもしなかった。カメラに向かって股間部分だけ隠して全裸の身体を晒した美紀は撮影を待つ。

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