姦計1

妄想小説

恥辱秘書






第十四章 再びの仕組まれた接待


 一

 裕美が美紀によって、紙おむつに放尿することを調教されている裏で、次の企みの為の準備が芳賀によって着々と進められていた。
 芳賀は、裕美が仕えている専務の長谷部に贋の情報を入れていたのだ。
 「長谷部専務、実は内密にお耳に入れておきたい情報がありまして。」
 「何かね、急にあらたまって。」
 「先日、得意先のN社購買部長を接待を強要された件がございましたが、ご記憶にありますでしょうか。」
 「ああ、私が出張に出ていて、君のところで代りに対応して貰った時だね。確か、先方から内規に触れるので、口外しないでくれとか勝手なことを言われていたんだったね。」
 「そうなんです。まったく、勝手なのですが、そんな勝手を言っておきながら、またセッティングしてくれなどと言ってきているのです。」
 「何と虫のいいことを。とんでもない輩だ。」
 「そうなんです。が、相手はこちらの重要取引先。ここで向こうの機嫌を損ねても、今後の取引でなにかと差し障りが出かねません。そこで、ひとつここは、私に任せて頂けないでしょうか。」
 「どういうことだね。」
 「この件は相手先の会社の内規に触れるかもしれない危ない件になります。そういう場へは、長谷部専務本人が出向くのは後々、問題が残る惧れがあります。が、かと言って専務が無視されたとあっては、向こうも顔が立ちませんし。仮にも得意先の購買部長ですので。・・・そこで私が考えたのですが、秘書の内村裕美君を代理ということで同伴させて、あとの取り仕切りは開発部門の代表ということで私が取り仕切ることにしたいと思うのです。内村君なら前回行っており、さほど不自然ではないかと存じます。なに、向こうは商売の話をそれほどしたい訳ではありませんし、女性が相手のほうが酒も美味かろうと思います。専務直属の秘書ですから、専務本人が対応したのに限りなく近いと体面も繕えます。いかがでしょうか。」
 「内村君なんかで、うまく取り繕えるもんだろうか。」
 「いやいや、彼女はなかなか如才ないところがあって、前回もうまく沢村部長を乗せておりましたよ。機嫌を取るにはうってつけです。しかも、このことは内密に運ばなければなりませんので、下手な関係者を入れるよりは、よっぽど話が洩れるのを防げます。」
 「なるほどな。それはいい考えかもしれん。私は極力この件には関わらないようにするから。すべては君の責任でやってくれたまえ。内村君は君が都合いいように私の代理ということで使ってくれて構わんから。」
 長谷部が全くの嘘とも思わず、芳賀の話に乗ってきたので、内心ぺろりと舌を出した芳賀だった。

 その日は妙に尿意が頻繁に募る裕美だった。それが、昼休みにお弁当と共に呑んだ自分が持参したお茶のせいだとは思いもしない。ロッカーに置いてあったお茶用のポットの中身が擦り替えられていたのだ。勿論、擦り替えたのは裕美が午前中、長谷部の部屋に行っている間に秘書室に忍び込んだ美紀の仕業だった。北条幸江を陥れる時に使った手口なので、美紀には訳なかった。
 その日も紙おむつを当てさせられ、トイレにゆくことを禁じられていた裕美は、何度もおむつを身につけたまま排尿しなくてはならず、吸水量の限界を超えるのではないかとひやひやしていたのだ。
 午後はそわそわして何度も時計を見ていた。
 (後、30分で定時を迎える。そしたらすぐにこのずっしり重いおむつから解放される。)そう思うと終業のチャイムが待ち遠しい裕美だった。
 そんな時に、インターフォンが鳴って裕美は長谷部の部屋に呼ばれたのだった。

 「あの、何か御用でしょうか。」
 (嫌な時間に何か用を言い遣ってしまわなければよいが。)と不安気な裕美だった。そんな裕美の不安など何一つ臆する様子もなく、長谷部は事務的に言い放った。
 「あ、内村君。突然で済まないんだが、今日これからちょっと接待に私の代わりに行って欲しいんだ。相手は、君もよく知っているN社の沢村っていう購買部長だ。前にも私の代わりに行って貰ったんだよね。」
 「えっ、・・・。」
 裕美の脳裏を嫌な思い出がよぎる。
 「手筈は、開発本部の芳賀という課長が整えてくれている。君は芳賀課長の指示に従ってくれればいい。いいね、頼んだよ。・・・あ、それから、この件は相手先との微妙な話に発展するんで、他言は無用だよ。君なら、よく分かっているよね。」
 「し、承知いたしました。」
 首をうなだれて秘書室に戻ってきた裕美だった。長谷部にああ言われては、出ないわけには行かない。裕美にしてみれば、N社の沢村は二度と逢いたくない相手だった。そして前回のことは思い出したくない出来事で、ずっと裕美の気持ちの中で封印してきたことだった。
 (今度は酔い潰れるような失態があってはならない。・・・そうだ。あの夜の本当にあったことを、沢村からうまく聞き出すチャンスかもしれない。)
 そう思うと、新たな決意を心に秘めて、接待に望もうと考えた裕美だった。

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