悪夢の前夜祭
第二部
五十二
朱美が先に立ってプールへ向かう廊下の突き当りの扉を開ける。後ろからは悦子が逃げられないようにビデオカメラを片手にぴったり付いてきていた。
「こ、こんな恰好で外に出るのですか?」
「そうよ。言ったでしょ。水泳の指導だって。もっとも指導するのは私達でアンタは指導される側だけどね。ふふふ。大丈夫よ。今日は日曜だから学校には他に誰も居ない筈だから。もし誰かに見られたら運が悪かったと思うしかないけどね。」
そう言うと小突くようにして久美子を廊下から外の渡り廊下へ出させるのだった。
プールまで向かう道のりはさながら処刑される為に牽かれていく囚人か女戦士のようだった。
「ねえ、あんなところに行くの。プールは周りより一段高いから遠くからでも丸見えよ。こんな恰好であそこへ上がる何て出来ないわ。」
「じゃ、身を屈めていれば。」
「え、そ、そんな・・・。」
しかし首輪に繋がれた紐をぐいぐい牽かれるので、ついていかざるを得ない。久美子はプールに近づくに連れ、だんだん身体を屈めるようにしてなるべく自分の姿が遠くから見つからないようにして這うようにしてついていくしかないのだった。
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