恭子AVパッケージ

悪夢の前夜祭


 第二部



 四十五

 朱美と悦子は水泳部顧問の宮崎久美子にも、テニス部顧問の如月美月の時と同じような手口を使うことにした。水泳部エースの高野恭子がパッケージの表に印刷されたアダルトDVDの贋物を作り上げて送りこんだのだった。
 この贋のパッケージも水泳部顧問、宮崎久美子をパニックに落とし込むのに充分な効き目があった。パッケージに使われていた写真がまさにあの晩、自分がスマホの動画で見せられていた恭子が凌辱されるそのシーンが使われていて、アダルトDVDのタイトルが将に「犯された水泳部キャプテン」だったからだ。
 (こ、こんなものが・・・。)
 添えられていた手紙には、『こんなものが流出直前に見つかりました。対応を相談したいので、今夜10時に東高の水泳部部室まで来て頂けませんか。』と書かれてあったのだ。送ってきた者の名は書かれていなかったが、考えられるのは自分が何者かにスタンガンで気絶させられ、縛られて吊るされている時にスマホの動画を見せにきたあの東高女子生徒の二人組に違いないと思った久美子だった。
 久美子はすぐに校長、教頭に相談すべきか迷った。しかし、文化祭の終了後、生徒会顧問の松下菜々子教諭が何か言おうとした際に口を噤んでしまったことが思い出された。
 (やはりあの時、自分も申し出るべきだったのではなかったか。今更、実はあの時などと言えるのだろうか。)
 そう考えると、今は自分で問題を解決するしかないのではないかと思われてくるのだった。とにかく教え子の恭子の秘密だけはなんとしてでも守り通さねばならないのだと久美子は責任を感じていた。久美子はたった独りで夜の東高水泳部の部室に向かうことを決心したのだった。

高野恭子顔

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