悪夢の前夜祭
第二部
五十
翌日の日曜日。久美子は居てもたってもいられず約束の2時より随分前に東高の門を潜っていた。朱美や悦子がやって来る前に水泳部の部室へ入って高野恭子のアダルトDVDを取り返しておこうと考えたのだ。前日の仕打ちに懲りて普通の下着ではない、水泳競技時に水着の下に着用するインナーショーツとスポーツブラを下着の代わりに着てゆくことにした。
誰も居ないしいんと静まり返った校舎に入った久美子はまっしぐらに廊下の奥にある水泳部部室を目指す。
(よかった。まだ誰も居ないようだわ。)
部室の扉を音がしないように慎重にそうっと開くと中に滑り込む。しかし久美子が置いた筈のテーブルの上にはDVDのパッケージは見当たらなかった。
(昨晩、回収されてしまったのかしら。)
そう思いながらも何処かに落ちているかもしれないと部室の中を探し回る久美子だった。
「何を家探ししているのかしら?」
突然、部室入り口が開かれて顔を覗かせたのは朱美と悦子の二人だった。
「い、いえ。何も・・・。」
「これだったら、探しても無駄よ。だって幾らでもコピーがあるんですもの。」
朱美の手には昨晩、久美子が置き忘れて帰ってしまったDVDのパッケージが握られている。
(やはりもうコピーが沢山作られてしまっているのだわ。)
久美子は送り付けられたDVDを取り返すことは諦めざるを得なかった。久美子はDVDを再生してみていないので、その中身がダミーの空のDVDだったとは思いもしないが、高野恭子が凌辱される姿が映ったDVDが既に作られてしまっていると思い込んでしまったのだった。
「アンタ、水泳部の顧問だから水泳は得意な筈よね。」
「い、一応、体育大学の競泳選手だったことはあるわ。」
久美子は自分が見込んだ高野恭子ほどの才能はなかったと認めざるを得ないが、そこそこの競泳の腕はあると自負していた。
「今日は水泳の指導にしようかしら。」
「え、でも水着は持ってきてはいないわ。」
「ふふふ。先生には必要ないわ。さ、服を脱いで。」
朱美の言葉に無意識に反射するように服のボタンに手を掛けてしまう自分が情けなかった。しかし久美子にはそうするしかないのだと思い込まされている。
「あら、何。その下着? もしかして、その上にオシッコを洩らしてもいいようにって選んできたの?」
朱美に見透かされたことで、久美子は余計に恥ずかしくなる。しかし、もし泳がされるのだったら、スポーツブラとインナーショーツでも水着に見えなくはないだろうと思い返す。
「こ、これ・・・。水着の代わりでいいですか?」
「それなら水着に見えなくもないって訳? そこのロッカーの前に立ってショーツを腿まで下してお尻を見せなさい。」
「えっ? わ、わかりました・・・。」
次へ 先頭へ