美月被縛目隠し

悪夢の前夜祭


 第二部



 四十三

 誰かがゆっくり近づいてくる足音が聞こえてきた。
 「誰なの? 私に何をさせようというの・・・?」
 しかし返事はなかった。代わりに美月はその誰かが自分の顎に手を当てるのを感じた。微かに上向かされる。顎にそのまま手を当てられたままの格好で何かが美月の口元に突っ込まれる。ペットボトルの吸い口らしかった。
 「うっぷっ・・・。」
 何かが無理やり美月の口の中に注ぎ込まれる。顎に当てられていた手が離れて今度は美月の後頭部で髪をつかまれる。その手が美月が顔を背けられないように押さえつけているので、美月は黙ってそれを呑み込むしかないのだった。
 「ぷふぁっ。な、何を呑ませたの・・・?」
 それにも返事はなかった。呑み切れなかった最後の一滴が唇の端から垂れて伝っていたが、美月にはそれを拭うことすら出来ない。
 掴まれた髪で引き摺られて無理やり床にしゃがみ込まされる。スカートの裾が乱れたような気がするが自分ではもはや直すことも出来ないのだった。

美月体育館しゃがみ

 床に無理やりしゃがみ込まされたところで、足音が遠ざかり始めるのを美月は聞き取る。
 (え、私を犯すんじゃない・・・の?)
 その時、ふっと生徒会長、水野美保と生徒会顧問、松下菜々子の顔が目に浮かぶ。
 (もしかして、わたしを犯すのが目的ではなく、私を犯させるの・・・?)
 体育館の重たい扉がギーッと音を立てて開く音がして、そのまま体育館はしいんと静まり返ってしまう。
 今度は文化祭の前夜、美月が見させられたスマホの映像が頭に蘇ってくる。
 (ま、まさか・・・。あの時の玲子と同じ経験をさせようというの? だとすると、さっき無理やり呑まされたのは・・・。)
 そう思うと下腹部の中心で何かじいんと痺れるような感覚が起こってきたような気がする。
 (逃げなければ・・・。)
 そう思うが、後ろ手に手錠が掛かっていて、目隠しで視界も奪われた状態では逃げることなど出来そうもなかった。とにかく立ち上がらなければと、足首を身体に引き寄せたところで、バタバタと人の気配が感じられた。足音から数人が入ってきたようだった。さっき開けっ放しにされたと思われる体育館の重たいスライド扉が再びギーッと音を立てて閉められたのが分かった。
 「だ、誰っ。」
 足音は確実に美月の近くまで歩み寄ってきていた。最初はおそるおそる近づいていた風なのが、美月が後ろ手に手錠を掛けられ目隠しも付けさせられているのに気づいたらしく、今度は少し足早にすぐ近くまで寄ってきたようだった。
 「本当にこいつが俺たちの童貞を卒業させてくれるのかなあ。」
 「そりゃ、縛られてこんな格好でいるんだから、やってもいいってことだろ。」
 「あいつらだって、文化祭の前の晩にさんざんやらせて貰ったっていうんだから、俺たちだってやらせて貰おうぜ。」
 男たちが話しているのを聞いて、美月は完全に前夜祭の晩の再現を美月にさせようとしているのに気づいた。
 (私が代わりにされれば、あのビデオは流出させないでくれるっていうことなのかしら・・・。)
 だとすれば、もう覚悟を決めるしかないのだと美月は悟った。
 「なあ、アンタ西高の先生だろ。そんな格好で俺たちを待ってたってことは、やらせてくれるって事だよな。」
 「ま、今更だめって言われてももう俺たちのここ、こんなになっちゃってるからブレーキは効かねえけどな。」
 「貴方達、約束よ。好きにしていいから、あのビデオだけは止めてね。」
 「はあ? ビデオ・・・? 何のことか分からねえけど、好きにしていいっていうんだから、そうさして貰うぜ。ほれっ。」
 いきなり美月は誰かに足首を掴まれて上に持ち上げられるのを感じた。後ろにひっくり返りそうになるのを手錠をされた手を突いて必死で堪える。
 「おやっ、ここ。もうこんなに濡れて沁みが出来てるぜ。」
 「うわっ、本当だ。」
 「い、いやっ。見ないでっ。」
 慌てて足を曲げて剥き出しにされたショーツの股間を隠そうとするが、誰かがもう片方の足首も掴んで二人掛かりで大きく脚を広げさせられてしまう。

高野恭子顔

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