悪夢の前夜祭
第二部
三十六
菜々子は更に首輪を牽かれて、体育館の用具室のような場所を通り抜ける。背後では悦子が誰か来ないか見張っている様子だった。
「え、ここは・・・?」
悦子は用具室を更に抜け、少し広めの倉庫のようなところに連れて来られる。
「あそこにしっかりした台があるでしょ。演劇部が暫く前にジャンヌダルクの芝居をやった時に作った大道具なの。処刑台よ。後でアンタにも使わせてあげるから楽しみにしておくことね。」
(ま、まさか・・・。この子たちは私をあそこに磔にするつもりなのだろうか。)
ジャンヌダルクが火炙りの刑に処されたのを演じる為に作ったらしい処刑台を横目で見ながら菜々子は更に先に連れていかれる。
「さ、こっからは階段を上がるのよ。」
朱美が先に立ってどんどん階段を上っていくので、首が締まりそうになって菜々子は一生懸命朱美に追いつくように歩いていかされる。階段は四階らしいフロアを越えて更にうえへ上っていく。
「え、もしかして・・・。」
「そう。そうよ。屋上に出るのよ。」
「屋上ですって。いやっ。外は止めてっ。こんな格好なのよ。」
しかし朱美はいっこうに構う様子もなくとうとう菜々子を屋上の吹き曝しの場所に引き出してしまう。
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