近未来性教育プログラム
四
元々教室での当初の席の並べ方は男女が千鳥格子になるようにすぐ近くには必ず異性が座るようになっていた。しかし夫々の男女が右側の方向に異性を求めるのか左側に向かうのか、はたまた前の異性に向かうのか後ろの異性に向かうのかはまったくランダムなのだ。自分が目指した方向には異性は既に居ないかもしれないし、居ても既に別の相手とカップルになっているのかもしれないのだった。
アキトは薫先生が指示を与えた時にすぐ幼馴染のアキホのことを思い浮かべた。偶々ではあったがアキホは教室に入った時にすぐ右隣りの席の女子の二つ後ろに居たことを憶えていた。
(どうせだったら相手はアキホにしたい・・・。)
そう考えたアキトは薫のスタートの合図を聞くや否や、自分の席を右にずれて手探りで二つ席を後ろに辿る。
(もうアキホは居ないか、誰かに掴まれているかもしれない。)
そう思いながらも祈るような気持ちで手を伸ばした先に柔らかい肉の感触を感じる。
(アキホ・・・なの?)
そう声に出して確認したいのだが、声を出すことは禁じられている。アキトが掴んだのは相手の肩のすぐ下あたりの二の腕のようだった。その伸ばした手の甲を上から柔らかく温かい手のひらが蔽いかぶせてくるのをアキトは感じとった。
相手の方も自分がパートナーになる資格をもつ男子かどうか確認している様子だった。そしてすぐに自分を男子と認識したようだった。払いのけてこないのはパートナーになることを同意してくれているように感じた。しかし、自分が相手をアキホと確信出来ないように、自分のことをアキトだと思ってくれているのかどうかは確かめようはなかった。
アキトは取り敢えず手探りでもう片側の肩辺りを目掛けてもう片方の腕を伸ばし、両手で相手の両腕を捉えるとぐっと近くに引き寄せる。女性特有の甘い髪の匂いがしたような気がした。
いきなり肩を掴まれたアキホは、身体を電流が流れたような衝撃を感じた。
(男の手だわ・・・。)
相手が異性かどうかどうやったら分かるのだろうと考えていたアキホだったが、触れられた感触だけでそれが分かるのはアキホには意外だった。
一瞬すぐに振り払って逃げるべきか、身を任せてしまうべきか迷ったアキホだったが後者を選ぶことにした。
(所詮逃れたところで、この特別授業は終わらないのだし・・・。)
そう思うと、心が少し落ち着いてきた。
肩に触れた男の手はゆっくりとだが自分の身体を引き寄せようとしているのが分かった。それに身を任せていると、スカートの前の部分に何か硬いものが降れた。
(えっ? まさか・・・。)
しかしそれは疑いようもないものだった。アキホもさっき薫先生が男子に命じていた言葉を思い返していた。アキホはスカートの生地を通して自分の太腿に押し当てられているものの感触からその大きさと形を想像する。それは普段観ている男子の股間の様子とは明らかに異なっている。
(これが勃起したアレなのね。それって、感じているってことかしら・・・。)
そう思うと、アキホはそのモノに手を触れてみたくなってしまう。
(お互い目隠しをしてるのだから、大丈夫よね・・・。)
そう考えた時にはもうアキホの手はその押し当てられている肉塊に延びていた。
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