近未来性教育プログラム
十六
「で、どうだったのかね。あの特別授業を受けた生徒のその後の反応は?」
薫はモニタリングの結果を報告する為に校長室へ出向いていた。
「あ、はいっ。効果はそれなりにあるようで、まだ一部の生徒同士ではありますが、特別授業の追体験のようなことを自分達でしているカップルが幾つかあります。特別授業での刺激が功を奏してきているんだと思います。」
「では成果は上がっていると考えていいんだね。」
「あ、ただ性に目覚めたといいますか・・・。異性に興味を持ち始めたまではきているかと思いますが、その先の性行為となりますと・・・。」
「そこまでは発展しないと? 君はそう考えているのだね。」
「あ、ええ。もしかして具体的に性交の仕方を教えないと先には進まないのじゃないかと・・・。」
「ふうむ。君はヒトが類人猿から進化して何千年経っていると思っているのかね。いや、類人猿だって、その前の下等生物だってやり方を教えられて生殖行為を行ってきたわけではないのだよ。性行為というのは教えられてする営みではないのだよ。」
「ああ、はあ。で、では、どうすれば・・・。」
「本能だよ、君。本能っ。」
「ほ、本能ですか・・・。」
「若者たちがセックスレスになってきたのは、間違った教育を長年受けてきたからなのだ。その教育が本来ヒト、いやすべての生物が本能として持っている性欲、つまり生殖して子孫を残そうとする意識を邪魔しているのだよ。それを解放してやる必要があるのだ。やり方の教育ではないのだよ。」
「はあ、そうなんでしょうか。」
「生殖という本能を邪魔している誤った教育による意識から解放させる為には、本来の貪欲な欲望の意識を目覚めさせる必要がある。それには少し荒療治が必要となるのだ。」
「荒療治・・・ですか?」
「そうだ。それじゃ、この次のステップとなるカリキュラムの具体的教育法がここに記されているから次の特別授業までによく読んでおきたまえ。」
「はいっ。わかりました。」
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