近未来性教育プログラム
三
「それでは皆さん。その場所で椅子から立ち上がって起立してください。」
声にはならないがざわざわとした雰囲気の中で生徒達が椅子を後ろに引いて立ち上がる。
「皆さん。私の言うことをようく聞いてください。質問は許されません。」
薫は一旦、ここで言葉を区切る。次のひと言を言い出すのに薫自身、一回深呼吸する必要があったのだ。
「女子生徒の皆さん。それではその目隠しをしたまま、スカートの中に手を入れて穿いている下着を脱ぎ取ってください。」
言葉は誰からも発せられないが、教室じゅうを当惑と躊躇いの無言の反目が渦めいている。しかし薫がわざとその後、一切の言葉を発しないでいると誰からともなく言われた通りスカートを捲り上げて下穿きを降ろし、そこから足首を抜き始める。周りの気配を感じ取ったらしく他の女子生徒も次々に下穿きを脱いでいく。一方の男子生徒たちはすぐ傍で女子生徒がしていることを想像しているのか、生唾を呑み込んでいるものもいる。
「脱ぎ取った下着は、制服の上着のポケットにしまっておいてください。それでは今度は男子生徒の皆さんの番です。ズボンの前にはチャックが付いていたのを憶えていますよね。それを降ろして、そこからペニスを引き出してください。引き出した後は自分で自分のペニスに触ってはなりません。」
女子生徒等がショーツを脱ぎ取るのを命じられた時と同じように無言のどよめきが男子生徒等の間で沸き起こる。最初の一人が意を決してファスナーを降ろした微かな音が聞こえると、他の者たちもそれに倣ってズボンのチャックを引き下ろし、おそるおそる自分の男性自身を外に引っ張り出すのだった。
(ちんぽをズボンから露出させるなんて・・・。幾ら女の子が目隠しをしているとは言え、こんな事、許されるのだろうか。もしかして、薫先生。俺たちのちんぽを眺めて愉しんでいるだけなのではないだろうか・・・。)
(男子がいっぱい居る中で、パンティを脱がさせるだなんて・・・。それもこんな短いスカートなのに。いったい、何を考えているのかしら。)
(こんなこと、嘘に違いないわ。こんなことが教育の筈がない。)
生徒たちはそれぞれに突然与えられた理不尽な命令に戸惑っていた。しかしそれを口にすることは出来ない。これまでの努力でやっと手に入れた自分の地位を些細な事で失いたくはないのだった。
「えー。それでは次の指示を与えます。皆さん、それぞれに目隠しを着けたまま自分のパートナーを探して頂きます。パートナーは必ず異性でなくてはなりません。異性であるかどうかは自分で判断してください。パートナーを見つけたら、相手の身体を放してはなりません。」
(え、異性のパートナーを探せだって? だって相手は見えないのに? どうやって見つけろって言うんだ・・・。)
(手探りで男性を探せってこと? 男子なら誰でもいいっていうの? もし相手の男の子が自分の嫌いなタイプだったらどうしてくれるの?)
「それでは初めてください。」
生徒達は皆、それぞれに与えられた指示の意味も解らず、当惑しながらもとにかくやっとのことで獲得した将来のエリートコースへの道を失いたくない一心で、ともかく言われたとおりに異性の相手を手探りで探し始める。
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