近未来性教育プログラム
十八
扉が開いて誰かが入ってきた気配を感じる。足音が近づいて来て後ろから腕を取られ、前に進むように促される。アキトは今誰かが入ってきた扉を通って部屋の外に出たらしいことを感じ取る。
(ここがそのホールなのだろうか・・・?)
新たに入った部屋には他にも何人かが居る気配がするが、何人居るのか、男なのか女なのかもアキトには分からない。
ピィーッ。
その時、狩猟ゲームの開始を告げるらしい笛の音が響き渡った。
アイマスクで何も見えない中で、アキトは手探りでおそるおそる前に進んでみる。その前に伸ばしたアキトの指に柔らかいものが触れた。
「きゃっ・・・。」
途端に上がった叫び声でアキトは触れたものが女の子の肌だったことを知る。足音から触れた相手は慌てて逃げ去ろうとしているのがアキトにも分かる。
(すぐ追って捕まえるべきだろうか・・・。)
アキトは手の中のロープを握りしめる。
「いやっ。放してっ・・・。」
アキトの後ろの方で別の声が挙がる。しかも聞き覚えのある声だった。
「アキホ・・・? アキホなのか? アキホっ。居るのか?」
思わずアキトも声を挙げる。
「アキト・・・。アキトなのね。た、助けてっ・・・。」
(アキホが誰かに捕まろうとしているっ。助けなくちゃっ・・・。)
アキトは無我夢中で声がした方へ突進する。ドンと頭が何かにぶつかる。男の背中だった。
「な、何するんだあっ。邪魔するなあ・・・。」
「アキトっ、助けてっ。」
自分がぶつかった男の下からアキホの悲鳴が聞こえる。アキトは夢中で目の前に居るらしい男の背中を両手で掴むと、横へ押しのける。
「何すんだよ。そいつは俺の獲物だあっ。」
「ち、違うわ。アキトっ。私、まだ縛られてないもの・・・。」
「そうか。わかった。アキホ。」
アキトは夢中で手を伸ばす。その手の先に柔らかくて温かい手が触れる。
「こっちだ。」
探り当てたらしい手をしっかり掴むと自分の方へ引き寄せる。その時後ろから男の腕らしいものがアキトの首を捉えた。首を絞められアキホを掴んだ手が緩みそうになる。その時、ドーンという手応えと共に、後ろから自分を羽交い絞めしていた男の手が離れたのを感じる。
(えっ・・・?)
「大丈夫よ、アキト。わたしが蹴り飛ばしたの。早く私を掴まえて私を縛って・・・。」
慌てて自分の前に手を伸ばしてアキホを再び確認すると再度自分の方へ引き寄せる。
「ふ、服を脱がしてっ。そして先に私を縛ってしまえば、私は貴方のものになるのよ。」
(そうか・・・。先に裸にするんだった。)
アキトは周りに他の男が居ないか手探りで確認してみてから、アキホの身体を捉えブラウスのボタンに手を伸ばす。アキホの方でも自分で服を脱ぎ始めていた。
「アキトっ。スカートのホック、外してっ。」
アキホがブラウスは自分で脱ぎ始めている様子なのに気づいてアキトはアキホの腰に手を回す。スカートのホックらししものを手探りでさがしあてると、ホックを外してスカートを下に引き下ろす。スカートがストンと床まで滑り落ちるとアキホは手を背中で交差させてアキトの方へ向ける。
「縄を早くっ。」
次へ 先頭へ