縛られナース

妄想小説

不妊治療外来



 八

 「女性を縛ってしたことがありますか? まあ、するまで行かなくとも縛るという経験は?」
 「い、いやっ。勿論ありませんよ。そんな事・・・。」
 「はあ、そうですか。だとするとちょっと練習が必要ですな。」
 「え、練習?」
 「そうです。こういう行為こそ、男性がうまくリードしなくてはなりませんからね。うまく出来ないと余計に焦って勃起までうまく出来なくなったり、待つ側の女性もじれて折角盛り上がってきた期待を削がれてしまうことにもなりかねない。特に、経験がない場合には最初から一度でうまく性交まで持って行くのは至難の業です。だから、練習なのです。いいですね。」
 「え、あ、はいっ・・・。」
 「おうい、芙美子く~ん。」
 医師が診察室の奥のほうへ突然声を掛けるので、涼馬は焦った。芙美子というのは、前回来た時に採精の際に手伝ってくれた看護師に違いないと思ったからだ。今度顔を合わす際に、どんな顔をしたらいいのかとずっと考えて悩んでもいたのだった。
 「はあい、先生。ただいまっ。」
 一瞬置いて診察室の奥の扉が開くと例の小柄な可愛い顔の看護師が姿を見せた。この日もやけに短いナース服から露わになっている太腿が刺激的だった。
 「君、またちょっと手伝ってくれんか。例のゲッフェセルトじゃ。」
 「あ、はいっ。承知しました。」
 ドイツ語で言ったらしい言葉は涼馬には意味が分からなかったが、看護師にはすぐに通じたらしかった。薬品などを格納しているガラスキャビネットの方へ向かうと抽斗から出して持ってきたのは何と綿ロープなのだった。
 「ストレッチャーを少し低くした方がいいかな。」
 「はい、わかりました。」
 指示された通りに看護師がストレッチャーのストッパーをいじると床の高さを少し下げて再び固定する。
 「じゃ、君。ここに俯せになって。」
 「はい、先生。」
 可愛い看護師は何をされるのかしっかり把握しているらしく、言われた通りに低くなったストレッチャーに身を横たえ背中を上にする。
 「女性を縛るには、後ろ手にして背中で両手を交差させて括り上げるのが最も宜しい。何故だか判るかね?」
 今度は涼馬の方に向き直って医師はそう訊ねた。
 「え、何故か・・・ですか?」
 「そうすると、手で女性器を守ることが出来なくなるからじゃ。あそこを攻められた時に受け入れるしかなくなる。後ろ手でない場合は小手縛りにして吊り上げるか、両手を広げて磔にするという方法もなくはない。しかし一番手っ取り早いのが後ろ手なのじゃ。前縛りは縛る意味がない。」
 「そ、そういう事・・・ですか。」
 「最初は私が手本を見せるからよく見ているがいい。まずこうして片方の手首を取って背中に持ってくる。縄の端をこれくらい余裕を持たせて手首に一回か二回巻きつけるのだ。そしてこう結ぶ。そしたらもう片方の手首を取って同じ様に一回か二回ぐるっと巻いてからもう片方の縄の端と結ぶのじゃ。これは手早くやること。ここでもたもたしているようじゃ性行為まではとてもじゃないが辿り着けんぞ。」
 「はあ、そうなのですね。」
 「よく素人は二本の腕を揃えて一緒にぐるぐる巻いて縛るものがおるが、あれはしている最中に解けてくるので駄目なんじゃ。こうして一回か二回手首に巻いてあると、必死に解こうとしてもがいても逆に縄が締め付けてきて緩むことがない。している最中に縄が解けるほど白けるものはないからな。」
 「はあ、なるほど。」
 「この両手首縛りが基本じゃ。あとは胸を残った縄で縛り上げるのも雰囲気を盛り上げるのには効果的なのじゃが、まあ初心者はそこまで憶えなくとも徐々に慣れてゆけばよろしい。さ、やってみなさい。」
 「え、私が? いいんですか?」
 「この看護師は慣れておるから人形だとぐらいに思っていればよろしい。ただ、人形だと手首の反力とかが違うのであまり練習にはならん。やはり本物の肉体を使わんとな。さ、やって。」
 「あ、はいっ。済みません。縛らせて頂きます。」
 涼馬は俯せに寝ている看護師の手首を掴んで背中に回す。その肌の肉の柔らかさにちょっといけないものを感じてしまうのだった。看護師が俯せに横たわると自然と短いナース服がずりあがって余計に太腿が露わになっている。今にも裾から下着が覗きそうな気配に涼馬は思わず生唾を呑み込んでしまう。

芙美子3

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