ナース聞取り

妄想小説

不妊治療外来



 二

 「君、この方の採精を。それからサイズも。フォルウントゥナハデムで。」
 「はい、わかりました。先生。じゃ、こちらへどうぞ。」
 てっきりあの古参看護師が現れるものと思っていた涼馬は、出て来たのが若い女性だったので余計に慌てふためく。
 「あ、あの・・・。わ、わたしは・・・。」
 「あ、こちらに採精室がありますので、今ご案内します。着いて来てください。」
 若い看護師はそれほど背が高くないが、ナース服は膝上丈までしかない。薄いピンクのワンピースが看護師にしてはとても可愛らしく見える。
 その若い看護師が第二診察室の一番奥の壁際を曲がってすぐの所にある小さなトイレのような更衣室のような場所に掛かったカーテンを開く。
 「こちらが採精室になります。ええっと、ここへこちら向きに立っていて頂けますか。すぐ済みますので。両手を万歳の形に上に挙げて頂いて上の方を見ててください。」
 訳が分からず涼馬が言われたとおりに両腕を肩より高く上げ天井の方を見上げると、看護師はさっとしゃがみ込む。
 「あっ・・・。」
 思わず声が出てしまった涼馬だったが、看護師は慣れている様子で何も言わず作業を続行する。涼馬のズボンのベルトを外すと、チャックを下してそのままトランクスごと膝まで下してしまう。何をされているのか気配だけで感じるが(上を向いていろ)というのが見るなという暗黙の命令だと思い、されるがままにじっと堪えている。
 女性の柔らかい指が自分の陰茎を摘んでいるのが感じられる。
 「8.9cm・・・。それっと、8.2cm・・・ですね。はい、じゃ、ここ綺麗にしますのでもう少し待ってくださいね。」
 (8.9に8.2・・・。ペニスの長さと直径だろうか? あっ・・・。)
 いきなり熱いタオルのようなものが陰茎を包み込む。それでごしごし擦っているようだ。どんな風にしているのか、見たいが見るなと言われているのでじっと堪えていたが、顔は上向きで動かさないようにしながら目線だけ下の方を向けてみる。看護婦の背中と頭で自分の陰茎そのものはその向こうに隠れてみえない。
 「じゃ、消毒もしますので、すこし冷たいですが我慢してくださいね。」
 そう言うと、アルコールを含んだ脱脂綿のようなもので今度は陰茎を拭き出したらしく、ペニスの表面がすうっとしてくる。
 「はい、終わりました。もういいですよ。」
 「あ、あの・・・。綺麗にするんなら、計る前にしてくれれば良かったのに。」
 「ああ、私だったらいいんですよ。後で手を洗いますから。それに先の測定はさっとやらないと、どんどん大きくなっちゃう人結構多いんです。だから、先に測定しないと。」
 「え、そ、そうなんですか・・・。」
 「はい、中に入ってベッドの上でリラックスしてください。本とか雑誌とかありますので適当にご覧になっててください。勃起したら声を掛けてくれますか。先に測定だけしちゃいますので。」
 「え、あっ、はいっ・・・。」
 涼馬は個室に入るとすぐ脇の簡易ベッドのようなものに横たわる。背もたれがあって寝転ぶというより、寝そべるという感じだ。看護師が下してくれたズボンとトランクスはそのままにしてペニスを剥き出しにしたままで身体を横たえる。すぐ脇に本棚のようなところがあり、ちらっと見ただけで女性の裸がいっぱい写っている雑誌類であることがすぐに判る。
 看護師がカーテンを引いた途端にペニスが上向き始めた。涼馬は自分のムスコの背とカリの裏側に親指と残りの指を添えてゆっくり擦り上げる。
 (ううっ・・・。)
 手の中で自分のモノがしだいに膨らみを増してくるのを指先に感じる。先程の可愛い看護師の顔を思い浮かべる。ついさっきまで自分の汚れたペニスをあの手で触っていたのだ。そう思うとそれだけで、自分のムスコが大きく反りかえってくる手応えを感じる。
 「あの、そろそろいいですか?」
 カーテンの向こう側からの優しい声ではっと我に返った涼馬だった。
 「あ、あの・・・。もう・・・、もう少しっ。」
 「ああ、ごく普通にでいいですよ。そんなに大きくしようと思わなくって。」
 こちらの頭の中を見透かされている気がした。どうせならすこしでも大きく立派に見せたかったのは男としての心情だった。
 「あ、じゃあ。」
 涼馬がそう言うとさっとカーテンが開かれ、さきほどの看護師が顔を覗かせた。看護師の手捌きは手際が良かった。し慣れてはいるのだろうし、へたにモタモタしていると萎えてしまったり、逆に射精してしまう男も居るからなのだろう。それでも看護師が勃起したペニスに手を触れるだけで涼馬のモノは大きく反り上がった。
 「はい、・・センチに・・センチ。」
 微妙に大きさの所は声を下げてはっきり言わない。自分にだけ確認するように呟くと手元のクリップボードのカルテに記入していく。
 「じゃあ、この後はお一人でなさってください。容器はこれになります。出し終えたら、あの棚の所にある引き戸の向こう側に置いてください。ティッシュなどはご自由にお使いください。」
 看護師はさっとカーテンを閉めようとして途中で止めてちょっと言い淀んだ。
 「あの、・・・。もしなかなか出せないようでしたら、声を掛けてください。終わった場合も、そう仰ってください。失礼します。」
 そう言うとカーテンをしっかり閉めて、その場所を後にしたのだった。

芙美子3

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