妄想小説
不妊治療外来
二十四
医師の手が今度は胸元の方に伸びてきた。きつく合せていた襟がどんどん肌蹴させられていく。そしてその合わせ目に沿って手が挿し入れられる。襦袢の下にはブラも着けていないので、すぐに医師の手が裸の肌に触れる。乳房のすぐ下だ。その手がゆっくりと這い上がってくる。やがてその手は乳房を下から押し上げるように包み込み、乳首を含めた全体が医師の掌の中にすっぽりと入ってしまう。
「あっ・・・。」
掌の中で固くなり始めた乳首がとがってきているのを自分でも感じとっていた。医師の指が勃起した乳首の横を撫で始めると、もう我慢が出来ずに優愛は荒い息を吐き始める。
もう片方の手が襦袢の裾を割って太腿の間に挿し入れられたのを感じる。乳首を愛撫されながら太腿の内側をもう片方の手で撫でられると、優愛はもうどちらに自分が反応しているのかわからなくなる。自然と脚が少しずつ開いてゆき、膝を軽く曲げるようにして医師の手を受け入れていた。
「ああ、貴方っ・・・。来てっ。」
優愛は頭の中で自分の身体に追い被さって来る夫の姿を思い描く。その声に反応したかのように太腿の間に挿し入れられた手が優愛の太腿を大きく割り開いていく。
「ああ、早くぅっ。貴方っ・・・。」
割り開かれた膝の裏側に手が挿し入れたかと思うと、もう片方の脚にも手が掛かる。両方の膝が大きく抱えあげられるように持ち上げられ、左右に大きく広げられる。その中心部に熱い肉の塊が押し当てられたのを感じる。
(えっ?)
押し当てられた肉塊はそのままつるっと滑るように優愛の体内に侵入してきた。
(これって・・・。)
「声を立てないで。いつもと同じようにするのです。貴方の旦那さまのモノを受け入れるのです。」
医師の言葉は呪文のようだった。陰唇が何の抵抗もなく肉棒を受け入れるのは自分が何時になく愛液でたっぷりと濡れている証拠だった。その肉棒がいきなりズブッと奥深くまで差し込まれてきた。子宮全体が熱く燃えるような感触を憶えながら、こちらも熱く滾っているような肉棒を受け入れていた。
「ああ、いいっ・・・。」
一旦、奥まで突き立てられた肉棒はすっと後ろに下がったかと思うや、再び奥目掛けて突進してくるのだった。
「ああ、駄目っ。いい・・・。おかしくなりそう。もっと、もっとしてぇっ・・・。」
医師の腰の動きがどんどん早くなってゆく。それに合わせて優愛の方も激しく腰を揺り動かしていた。
「ああ、いくっ。いくぅっ・・・。」
優愛が挙げる喘ぎ声に、思わず医師の方も合わせて絶頂を迎えそうになるが、寸でのところで理性がそれを抑えた。
(駄目だ。このまま出してしまいたいが、ここで出してしまったら怪しまれる惧れがある。ここは一旦抜いておかねば。)
医師はすっとペニスを引っ込めると、ポケットから予め用意しておいたインサータを取り出す。インサータには目印にしておいた緑のキャップが嵌められているのをしっかりと確認する。
「奥さん、今旦那さんのものを抽入しますよ。」
医師はインサータをペニスを抜いた熱い割目に深く挿し込む。ジュッという音がしたような気がしたが、実際の音だったのか、感触だったのか優愛には区別がつかなかった。
医師は旦那さんのと言いながら、緑色のマークが付いた自分自身のスペルマを保存しておいたインサータに詰めて人工受精される患者の体内に注入したのだった。
優愛はベッドの上で、まだ荒い息遣いを繰り返していた。医師はベッドから降りて肌蹴ていた白衣の前ボタンを閉じる。
「じ、人工・・・受精って・・・、こんな感じ・・・なのですね、先生。」
喘ぎながら優愛は漸くそれだけを口にした。
「そうですよ。こんな感じです。まだ暫く安定するまでじっとしていてください。いや、本番の時と同じ感じにね。そうやって暫くじっとしているのです。」
「は、はいっ・・・。ああ、はあ、はあ・・・。」
医師は今使ったばかりのインサータを誰にも見つからないようにと袋にいれて厳重に口を縛ると、自分の机の抽斗の奥にしまい込み、念の為に鍵まで掛けておくのだった。
見繕いを整えた遠山夫人が秋本医院を出る際に、医師は優愛に「今度の本番の時までは、旦那さんが求めても性行為は控えるように」と釘を差すのを忘れない。それは勿論今度の人工受精の為に体調を整えさせる為ではなく、自分の精子を無事に着床させるのに支障がないようにする為なのは言うまでもなかった。
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