修道女1

妄想小説

続・訪問者 悪夢の教団総本山


 七

 「え、これは・・・。どうしてこんなに短いのですか?」
 訴えるように問いかける京子に、傍らにいて着替えを指示した巫女風の女が事も無げに言い放つ。
 「還俗を志すものは、入信、精進の為に修行に来館するものとは厳密に区別しなければならないからです。」
 京子は還俗を志すものは辱めを受けなければならないのだと言われているような気がした。しかし、ここでひるんではならないのだと決意を新たにする。今にも翻ってしまいそうな短い僧衣の下は何も着けていない。股間をすうすう風が流れていく。しかし、それでも京子は耐えてみせると心の中で叫んでいた。
 「着ましたね。ならば両手を後ろへ。」
 (また縛られるのだわ。)
 京子は先程教祖の前に出るのに両手を縛られたことから、もう縛られるのは仕方のないことなのだと思うようになっていた。
 「これから還俗の間で、還俗の儀の試練を受けて頂きます。」
 「あ、あの・・・。還俗の儀というのは・・・?」
 「往けばわかります。」
 巫女は京子の肩をそっと押すようにして次の部屋へ促す。突然、京子の前の扉が開かれ光が差し込んでくる。真正面の壁に京子たちを見下ろすかのように、謁見の間にあったような巨大な十字架とそれに架けられたキリストに似た容貌の全裸姿の男の像があった。そしてその像も巨大な股間のモノを屹立させているのだった。恥ずかしさに京子は思わず目を逸らす。
 下を向いた京子の眼に、奇妙なものが十字架像に対峙するように置かれているのに気づく。手前に階段のようなものが設えてある木製の造りものだった。

絞首台3

 (どこかで見たことがあるような・・・。オリンピックの聖火台でもないし・・・。)
 しかしその後すぐにふっと何であったかを思いつく。
 (処刑台だわ。絞首刑に掛けられる罪人が昇らされる・・・。)
 「さ、その段を昇るのです。」
 壇上はゆうに2m以上の高さがありそうだった。両手を背中に括られたまま、京子は段を踏み外さないように恐る恐る慎重に段を昇ってゆく。最上段から上が見えるようになって、檀上には何やら黒々としたものが置かれていることに気づいた。
 (何、これは・・・。)
 「その壇上の像を跨ぐのです。足をのせる場所が描かれている筈です。」
 段の下から巫女の声がする。
 京子が像と呼ばれたものをみるとその腰よりすこし手前辺りに、確かに足の裏を示すような形が像の両側に描かれている。そしてその像は明らかに魔物か悪魔を模った彫像であることが判る。しかもその彫像も股間にあたる部分に屹立した男根のようなものが天を突くように生えているのだった。

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