大ホール磔

妄想小説

続・訪問者 悪夢の教団総本山


 二十三

 京子が目覚めた時、自分の両手、両足が大きな十字架の台座に括り付けられているのに気づいた。場所は初めてみるところで、どうやら教団総本山で最も大きなホールの壇上らしかった。その中央に着ていた服はすべて剥ぎ取られて括り付けられているのだった。
 やがて舞台前に悦子他数人の知らない巫女の姿をした女性たちが現れた。
 「どうして、そんな場にそんな格好で晒されているのか判るわね。」
 「い、いえ。わかりません。私が何をしたというのでしょう。」
 「ふん。惚けたって駄目よ。還俗の意志を見せるなどと言いながら、悪魔の誘いにはやすやすと唆されて、挙句の果てには夜中にこっそり逃げ出すとは。お前はもしかしたらこの教団に忍び込んで、教団の秘密を世間に公表しようとしているスパイではないの?」
 「いえ、決してそんな者ではありません。」
 「だったら、どうして夜中にこっそり逃げ出したりしたの?」
 「そ、それは・・・。」
 「答えられないのね。いいわ。貴方には罰としての処刑を受けて貰います。」
 「処刑? 何をしようって言うの?」
 「貴方には献婚の儀を受けて貰うわ。」
 「ケンコン・・・? いったい何の事?」
 「ふふふ。今にわかるわよ。男性修道者たちも久々の儀式だから、さぞ歓ぶだろうよ。さ、みんな準備をするのよ。」
 一番偉そうな巫女の頭のような女性が声を掛けると、巫女たちが一斉に壇上にあがってきた。
 「まず目隠しをしてしまいなさい。そしたら胸と股間に拘束具をしっかり巻きつけるのよ。それから花嫁にふさわしい格好にしなさい。」
 (花嫁・・・ですって? いったい何の事?)
 京子は一旦磔の台座から縄を解かれたようだったが、両側から手首をしっかり抑えられているので、逃げ出すことも叶わない。一旦解かれた縄は、何やら新しい衣服に袖を通されると再び背中に捩じり上げられ、手首と手首を繋がれてしまう。漸く目隠しを取られた京子は自分の姿に唖然とする。自分が着せられていたのは、まさしく花嫁然として純白のウェディングドレスだったのだ。しかもその透ける素材の下には黒い革の拘束具が下着の代りに付けられているらしかった。

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