エレベータ扉

妄想小説

続・訪問者 悪夢の教団総本山


 四

 京子が案内された場所は廊下の突き当たりらしき場所に設けられたエレベータのようだった。そこには既に別の巫女風の女性が二人扉の両側に控えていた。こちらも顔の部分は白いレースのような生地で覆われていて表情は窺うことは出来ない。
 そこまで京子を案内してきた巫女は二人の女性に恭しくお辞儀をすると、そこで引き継ぐのだと言わんばかりに京子にも軽くお辞儀をしてその場を去って行く。呆気にとられて京子がその巫女を見送っている間にエレベータは扉が開かれていた。
 二人居た巫女の一人が目配せで京子に庫内に入るように指示する。京子は軽くお辞儀をしてからエレベータの庫内の奥へと進む。それは確かにエレベータらしいのだが、普通とは少々異なっていた。通常のエレベータにはある行き先階へのボタンらしきものがないのだ。代りにキーボードのようになったボタンが並んでいる。京子を招じ入れた巫女は素早い手付きでそのキーボードに暗号キーのようなものを打ち込む。するとすぅーっとエレベータの扉が閉じたのだった。そのエレベータには行き先階を示すボタンも無ければ、今何階に居るのかを示すインジケータも無かった。最初は上にあがっていく加速度Gを感じたのだが、次には横向きに動いていく感触があった。更に今度は下に下がって行く加速度Gを感じる。横向き、上下の加速度を何度か感じている間に、京子は今、自分が建物のどのあたりにいるのかという感覚がすっかり無くなってしまっていた。エレベータは暗号キーによって、複雑に上下左右の動きを繰り返しながら目的の場所へ自動運転されている様だった。最後にエレベータの扉が開いた場所は窓が無い為に建物の最上階なのか、はたまた地下の奥深い場所なのかさえ判断が付かなかった。
 京子が一緒に来た巫女に促されるまま、エレベータから外に出ると、ある小部屋に出た。そこには微妙に装束の異なる別の巫女が待っていた。
 「シモの処理はしてありますか?」
 いきなりその新しい巫女が京子に問いかける。
 「え? シモの処理って・・・。」
 京子を案内してきた巫女の一人がいきなり京子が羽織っている僧衣の裾を捲り上げたのだった。
 「きゃっ。あ、嫌っ・・・。」
 京子は突然、全裸の格好の僧衣の中を見られて狼狽していた。
 「それでは不充分ですね。剃り直してください。」
 京子の恥毛は、当初樫山に剃るように命じられ、その後影山にまで戒めを受けたままで剃り上げられずっと無毛のままだった。やっと少しずつ生え始めてやっと新しい毛が生え始めてきたところだった。それを再度剃り上げろというのだった。
 「こちらにシャワールームがあります。そこで綺麗に処理してください。本来ならば、頭の頭髪も綺麗に剃り上げなければ教祖に謁見することは許されません。しかし最近やっと、教祖様のご慈悲により、頭髪は頭巾さえ着用していれば剃髪は赦されるようになったのです。」
 そう言いながら、京子をここまで連れてきた巫女の一人が京子をシャワールームへと案内し、シェービングジェルと共に剃刀を手渡すのだった。
 本来なら頭の毛も全部剃り落さなければならないのだと言われて気が転倒してしまった京子は既に剃り落している股間の毛を綺麗に剃り直すだけならと安易に受け入れてしまったのだった。既に股間の毛は剃っているというのを知られてしまった負い目というのもあった。京子はこの期に及んでという気持ちになっていた。

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