理科室の悪魔
第一部
七
(あれっ・・・?)
そんな美津子の興味を惹いたのが奥の方の机の上に置かれていた人体模型だった。人体模型は生徒達、特に女子生徒には嫌われているものの一つで、嫌いというよりは怖いというのが女子達の専らの感想だったが、美津子にとっては興味深いもののひとつだった。しかしその人体模型はその時の美津子には違和感があった。腰の周りに何か布のようなものが巻かれてあったからだ。
(どうしてこんなところに布なんか巻いているのだろう・・・?)
訝しく思いながらも美津子は興味本位で近づいていってその布に手を触れてみる。軽く触れただけだったが、その布切れはするりと解けて中のものが露わになる。
「きゃっ・・・。」
思わず声を挙げてしまった美津子は慌てて辺りに誰も居ないことを確認する。
布が掛けてあった人体模型の股間部分にはこれみよがしに反り返っている男性性器そのものが据えられていたのだった。
(こ、これっ・・・?)
人体模型自体は全身像のものや半身像のものなど、美津子もこれまでに何度か目にしたことはあったが、股間にこのようなものが付いているのを見るのは初めてだった。美津子自身、勃起したペニスというものを見たことはなかったが、それを模ったものなのだろうとはすぐに察しがついた。
(こんなに大きくなるものなの・・・? それにこんな風に反り返るだなんて・・・。)
人体模型はいろんな部分が取り外したりまた元に戻したり出来ることは美津子もよく知っていた。しかし股間部分が勃起した状態のものに挿げ替えられるとは思いもしなかった。
美津子は辺りをもう一度見回して、誰も居ないことを再確認する。美津子はどうしてもその部分がどうなっているのか手で触れて確かめてみたいという衝動に駆られてしまっていた。
美津子がおそるおそる手を伸ばして反り返っている陰茎を掴もうとしたその時だった。ガラリと遠くの方で扉を開ける音がしたのだった。それは理科室の入口の扉に違いなかった。
慌てて背後を振り返ろうとした美津子の手が人体模型のその部位に触れてしまい、その反動でそれが本体から抜け落ちてしまったのだった。
カラン。
乾いた音と共に本体から抜け落ちたそのモノは机の角に当って床に転がり落ちてしまう。
(い、いけないっ・・・。)
慌てた美津子が急いで床にしゃがみ込んでそのモノを拾い上げると人体模型の股間にあてがおうとするが何故か巧く嵌まり込まないのだった。
(どうしよう・・・。)
焦ればあせるほどその部位は本体にすんなりと収まってはくれない。その間にもコツコツと足音が響いてきて誰かが近づいてきているのがはっきりと美津子には感じられた。
(駄目だわ。もう・・・。)
美津子はその部位を人体模型本体に嵌め込むのは諦めて被せてあった布の奥にしまいこむと布だけを元あったように模型の腰周りに被せるだけにして急いで持ってきた実験器材の箱の方に走り寄るのだった。
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