教室脚上げ

理科室の悪魔



 第一部



 十七

 「ねえ、樫山クン。この間の学級委員会、どうして出て呉れなかったの?」
 放課後の教室で、美津子は前回の学級委員会を副委員の樫山が欠席したことを詰る。
 「だって正委員のお前が出たんだろ? そんなにクラスから何人も出る必要はないだろ。」
 「学級委員会は本来、正副両方が出る決まりになってるのよ。確かに正の委員しか出してないクラスも結構あるけど、うちのクラスみたいに正委員が女子っていうのは圧倒的に少ないの。だから男子ばかりになっちゃって私も意見はいいにくいわ。だから是非とも樫山クンにも一緒に出て欲しいの。」
 美津子の本心は学級委員会で男女平等に意見を言うことではなくて、樫山と一緒に居ることが重要なのだった。しかし本音を言う訳にはゆかないのだった。
 「ま、考えとくよ。それよりそんな格好してるとパンツ、見えちゃうぞ。」
 樫山にそう言われて美津子は机の上に載せていた足をおろす。
 (いいのよ、樫山クンにだったら見られても。)
 美津子が机の上に足を載せていたのは少しでも樫山の気を惹きたいからだった。しかし心の声は美津子の胸のうちにだけ留めることにした。
 「それよりお前、この間小川真弓のこと庇って井上の頬に平手打ちを喰わしただろ。アイツ、そのことを結構恨んでいるみたいだぞ。注意したほうがいいと思うよ。」
 「え、樫山クンにもあの事、伝わっていたの?」
 (確かあの時、樫山クンは近くには居なかった筈だけど・・・。)そう思いながらも樫山が自分のことを心配してくれたことが嬉しかった。
 「噂ってやつはいろいろ伝わってくるからさ。正義感出すのもほどほどにしとかないと仕返しとかされかねないからな。」
 「でもね、ああいうのってそのままにしておくと余計に増長しかねないって思うの。私はそういうの、赦せないって思うから・・・。」
 そう言ってその日はそのまま別れた二人だった。



mitsuko

  次へ   先頭へ



ページのトップへ戻る